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フリーアナウンサー 大橋未歩さん

一病息災

[フリーアナウンサー 大橋未歩さん]脳梗塞(2)致命箇所を外れる幸運

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 感覚がない。自分の左手なのに、マネキンの手を触っているよう――。

[フリーアナウンサー 大橋未歩さん]脳梗塞(2)致命箇所を外れる幸運

 2013年1月の夜、寝支度をしようと洗面所に立った。何かおかしいとは思ったが、そのまま洗顔クリームに手を伸ばした。つかみ損ねて床に散乱した。片付けようとして倒れた。

 異変に気付いた家族が助けに来てくれた。救急車を呼ぼうとしている。でも、大ごとにはしたくない。

 「らいじょうぶ」

 ろれつが回らず「大丈夫」と言えない。記憶はそこから断片的でしかない。

 15分ほどして、急に意識は明瞭になった。体も自由に動いた。「何だったんだろう」。到着した救急病院でCT(コンピューター断層撮影法)で診察した。異常なことは何も映っていない。症状を説明すると、改めて脳の精密検査を受けるよう勧められた。

 翌々日にMRI(磁気共鳴画像装置)の検査室から出ると、車いすが用意されていた。4か所の脳 梗塞こうそく があると告げられ、絶対安静を指示された。

 「え? こんなに元気なのに?」。驚いて尋ねると、担当医は諭すように説明した。「たまたま致命的な場所をはずしていただけです」

 「たまたまかぁ……」

 重い言葉だった。目標を決めて努力すれば、何でもかなうと信じていた。体も、気持ちでどうにかなると考えていた。その考えの 傲慢ごうまん さに気付かされた。

 

  フリーアナウンサー 大橋未歩さん(40)

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