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健康寿命は食生活の改善から 飲食店、中食など68事業者を「スマートミール」認証
健康な食事を健康的な環境で提供している飲食店や社員食堂などを認証する「健康な食事・食環境」認証制度がスタートし、第1回の認証事業所68件の発表会見が8月23日、東京・駒込の女子栄養大学で開かれた。認証事業所には、飲食店や社員食堂のほか、調理した食品を製造する 中食 業者としてコンビニエンスストアなども含まれている。
厳しい基準 学会など10団体が審査
生活習慣病予防に役立つバランスのとれたメニューを「Smart Meal(スマートミール)」と称し、提供する事業者を認証する制度。日本栄養改善学会が中心となり、高血圧、糖尿病、肥満、動脈硬化、腎臓の学会など10団体がコンソーシアムを作り審査している。スマートミールの認証基準は、厚生労働省が定める生活習慣病予防のための食事の目安や給食会社のヘルシーメニューを分析するなどして設けた。国が健康な生活習慣の目標を定めた「健康日本21」の目標も含んだ内容になっており、バランスのとれたメニューの徹底を求める内容だ。
メニューの内容は、
(1)カロリーは一食450から650キロ・カロリー未満の通称「ちゃんと」と、650から850キロ・カロリーの「しっかり」の2段階
(2)料理の組み合わせの目安は、「主食+主菜+副菜」か「主食+副食」
(3)栄養のバランスは、たんぱく質(13~20%)、脂質(20~30%)、炭水化物(50~65%)の範囲内にする
(4)食塩相当量は「ちゃんと」が3.0グラム未満、「しっかり」は3.5グラム未満とする
などが基本。これに加え、栄養情報を提示し、スマートミールを説明できる人が店内にいる(中食は問い合わせ窓口がある)、栄養士がメニュー作成に関与している、店内は禁煙……といった体制や環境に関する必須項目を満たすことが条件となっている。食事内容と必須条件をクリアすると認証され、☆ひとつが与えられる。
さらにオプション項目として、「週3日以上精製度の低い穀類を含む」「週3日以上魚を提供している」「野菜70グラム以上のメニューを提供している」「果物を提供している」など18項目が設けられている。このうち5項目以上を達成すると☆☆、10項目以上で☆☆☆とランクが上がる。
モス、ファミリーマート、各地の社員食堂も
第1回の認証には79事業者の応募があり、68事業者(外食25件、中食11件、社員食堂34件・複数ジャンルの事業者あり)が認証された。チェーン店などが含まれるので店舗数は合計1万6809店と多くなった。飲食店では「大戸屋」(☆☆)が355店舗と最大で、認証メニューは「四元豚と野菜の蒸し鍋定食」。「モスフードサービス」(☆☆)は関東地区14店で提供する「バランスセット」が認証対象になった。
中食では、「ファミリーマート」(☆☆☆)の1万6319店で扱う「炙り焼き鮭幕の内弁当」が認められた。社員食堂は、長崎県から青森県まで各地の企業が含まれ、日本生命保険相互会社東京本部やキユーピー(東京都)など8事業所が☆☆☆を獲得した。認証を受けた事業所は、それぞれに「スマートミール」の認証を事業所内で告知するなどアピールすることができる。
試行として、先行して認証を受けていた東京駅前の新丸ビルにある「四川豆花飯荘」(☆☆☆)は、新たに「バランスランチセット」を作った。担当者は「うちは本格中華の店ですが、スマートミールが女性に人気で、新たな需要の開拓に効果がありました」と手ごたえを語った。
日本栄養改善学会理事長で女子栄養大教授の武見ゆかりさんは、「栄養学の研究だけではなく、社会での実践も重視し健康な食事を広げていきたい」と話していた。
認証された事業所は こちら
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