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雨の日の頭痛を予測、気圧変化で「警戒」「注意」…気象予報士がアプリ開発

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雨の日の頭痛を予測、気圧変化で「警戒」「注意」…気象予報士がアプリ開発

 梅雨時にめまいがしやすい、雨の日は古傷が痛む――。低気圧が近づくと、体調が悪化する人がいる。

 「気象病」や「天気痛」と呼ばれる症状。気象予報士の岡田みはるさん(42)は、大学卒業後に通った気象専門講座の卒業研究を通じ、雨の日に頭が痛くなる人がいることを知り、約50人から症状を聞き取った。

 一口に「雨」と言っても、前日に痛くなって「明日は雨」とわかる人、雨上がりに具合が悪くなる人など、特徴は様々だった。一方で、周囲から「気のせい」と言われたり、改善策がわからず悩んだりしている人が多いことも知った。

 気象の知識を生かして、悩みを抱えた人の役に立ちたい。岡田さんは気象予報士試験に合格すると、アプリ制作会社「ポッケ」(東京)に入社。2012年、気圧の変化を予報し、頭痛予防に役立ててもらうアプリの開発を提案した。

 それが、累計155万ダウンロードを超えるスマートフォンアプリ「頭痛ーる(ずつーる)」だ。

関節の痛み、めまい、ぜんそく、うつ…様々な症状を抱える人から反響

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天気痛対策アプリ「頭痛ーる」の画面を見ながら、開発時の様子を語る岡田さん(左)と飯山さん(7月30日、東京都渋谷区のポッケ本社で)=池谷美帆撮影

 アプリでは、6日先までの気圧の変化を時間帯、地域ごとに予報し、折れ線グラフで表示。気圧が急激に下がるなど頭痛につながりそうな日時をピンポイントで指し、「警戒」「注意」など4段階に分けて知らせる「痛み予報」のサービスが支持されている。

 頭痛が起きた日時や痛みの強さ、予兆や服薬の有無などを利用者が簡単に入力できる日記機能もあり、自分に合った対処法探しや医療機関での治療に役立つ。

 13年4月に無料で公開すると、頭痛だけでなく関節の痛み、めまい、ぜんそく、うつなど、低気圧接近時の様々な症状を抱える人たちから反響があった。

 15年に岡田さんが退社した後は、同じく気象予報士の飯山隆茂さん(56)らが引き継ぎ、現在、月40万人強の利用者がいる。飯山さんは「ユーザーの記録から、痛むタイミングは気圧の『下降中』や『底』など人それぞれとわかった。いずれは症状に合わせた、個人向けの痛み予報も実現したい」と意気込む。

気圧低下を内耳が感知、交感神経が刺激され慢性痛に

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「天気痛は気のせいではない」と語る愛知医科大の佐藤客員教授

 なぜ、気圧の変化で体調が悪くなるのだろうか。

 名古屋大教授を経て、現在は愛知医科大に「天気痛外来」を開設する佐藤純・客員教授(60)は約20年にわたる動物実験や疫学調査、臨床研究などの結果から、「気圧低下を内耳が感知することで、交感神経が刺激されるなどして慢性痛が強くなっている」と指摘する。

 佐藤氏らが15年に愛知県の住民6000人を対象にした調査では、回答者の4割が片頭痛や腰痛などの慢性痛に悩み、その25%が「天気が崩れる時に痛みが悪化する」と答えた。

 「天気痛は決して『気のせい』ではない。気圧低下に気を配れば、事前に抗めまい薬を服用するなどして予防につなげることができる」と佐藤氏は言う。

 14年には京都大病院の橋本求・特定助教(44)らの研究グループが、のべ2万件超のリウマチ患者の臨床データと気象データを解析し、気圧が低いほど関節リウマチの痛みが強まる傾向があると発表した。

          ◇

 気象予報士1万人時代。「競争」も激しくなるが、「予報の精度が飛躍的に上がった今、予報士に求められるのは、気象データをどう活用して、どんな人に役立つ情報を届けるか考え抜くこと。1万人が考えれば、よりよい社会に貢献できる」。岡田さんは、そんな使命を感じている。

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