yomiDr.編集室より
医療・健康・介護のコラム
お仕事って楽しい!…障害のある子どもたちが夏休みの職場体験
「わぁ、コーヒーの匂いがする」――。普段は静かなオフィスが、子どもたちの声でにぎわっている。夏休みのイベントとして8月21日に開催されたマニュライフ生命保険本社(東京都新宿区)での職場体験。参加したのは、障害がある子どもたちとその保護者だ。
案内するのも障害のある社員たち
障害のある子どもの放課後活動や学習、就職支援などを手がけるD&I(同港区)と同社が毎年実施しているイベントで、今年が4回目。身体、知的、精神障害の社員が働く「オフィス・サポート・センター」を見学し、その仕事の一部を体験する。子どもたちを案内して説明するのも、障害のある社員たちだ。
この日、職場体験をしたのは小学校の普通学級や特別支援学級に通う3~5年生の10人。オフィスのカフェコーナーでミルクや水の補充、コーヒーマシンのメンテナンスを行い、会社に届いた郵便物を各部署へ配る仕事も手伝った。とくに盛り上がったのは、廃棄書類をシュレッダーにかける仕事で、「次はこの紙だ!」と止まらなくなる。それぞれの仕事を手伝うとスタンプがもらえ、全部そろうと記念品がもらえるのも楽しみだ。
将来の就労・自立へ、経験を積み重ね
同センターが設置されたのは2013年のこと。「それまでは各部署で障害のある社員が働いていたが、雇用はなかなか拡大しなかった。そこで、できる仕事を一括して集めたセンターを設置しました。数人からスタートし、今では重度の9人を含む23人が初台(本社)と笹塚オフィス勤務。全社では64人の社員が働いています」と、人事部の奥瀬篤シニアマネジャーは語る。
センターでは、職場のリーダーも障害当事者が務めている。その一人で、子どもたちを案内した長田聖矢さん(入社4年目)は、仲間とリハーサルを行ってこの日に備えた。「仕事の内容をわかってもらえるように心がけました。子どもたちが、自分が担当したカフェコーナーを『一番楽しかった』と言ってくれ、うれしかった」
5年生の娘と参加した都内の母親(42)は、「社員のみなさんは、それぞれが自分のできる仕事をきちっとこなしていました。娘も将来は就労と自立が課題となりますが、いろいろな経験をして、自分の手でつかんでほしい」と話していた。(梅崎正直 ヨミドクター副編集長)
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