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五味院長の「スッキリ!体臭で悩まなくなる話」

医療・健康・介護のコラム

体臭を抑える食事法(下)喫煙は24時間皮膚ガス発散 無理なダイエットは「腐ったバナナ」のニオイに

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肥満も無理なダイエットも体臭の原因に

 過食で肥満体になると、体臭が強くなります。

 肥満すると脂肪細胞も肥大して脂肪酸の分泌が盛んになり、汗として出てきます。内臓脂肪が蓄積したメタボ体形の人が、油っぽい汗をかくのはこのためです。皮下脂肪が厚い人は、脂肪層が断熱材となって体内の熱が放出されにくく、体温が急激に上がるため、一度にドッと汗をかきやすくなります。濃度の高い、臭い汗です。

 反対に、運動を伴わない過度な食事制限をした場合にも、体臭が強くなることがあります。「ダイエット臭」です。

 無理なダイエットをしていると、主なエネルギー源である炭水化物が不足してきます。そこで体は、貯蔵している中性脂肪を脂肪酸に分解し、エネルギー回路に入れて燃焼しようとします。しかし、運動不足やダイエットによる栄養素の不足により、燃焼に必要な糖質、ビタミン類、酵素類が足りず、脂肪酸を完全燃焼できません。燃焼されないで血中に残った脂肪酸の一部は汗とともに排出され、「油っぽい汗臭」の原因ともなります。ダイエット臭の第1段階です。

糖質制限が過ぎると飢餓臭が…

 さらに、炭水化物の摂取を制限していると、脳のエネルギー源である糖質が不足するため、脂肪酸を「ケトン体」という物質に変えます。ケトン体は脳や筋肉の代謝で使用されますが、ほとんどは血中に蓄積して汗からだけでなく口臭や尿臭としても出てきます。ダイエット臭の第2段階です。

 ケトン体は糖尿病になった時にも増える酸性物質で、腐ったバナナのような甘酸っぱい不快なニオイがします。「飢餓臭」とも呼ばれ、体を動かさずに断食に近いダイエットを続けていると発生しやすくなります。このケトン臭がするということは、ダイエット法が間違っているというサインです。食事制限だけでなく、有酸素運動などを取り入れるようにしましょう。また、極端な糖質制限のような偏食ダイエットでなく、バランスのよい食生活を心がけることが大切です。(五味常明 五味クリニック院長)

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五味常明(ごみ・つねあき)

1949年、長野県生まれ。一橋大学商学部、昭和大学医学部卒。昭和大で形成外科、多摩病院で精神科に携わった後、体臭・多汗研究所を設立。現在は、 五味クリニック 院長として、東京と大阪で診療する傍ら、流通経済大スポーツ健康科学部の客員教授も務めている。

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