すてきLIFE
医療・健康・介護のコラム
[関口祐加さん]認知症の母 介護記録映画
認知症の母(87)を介護しながら、その様子をビデオカメラで撮り、ドキュメンタリー映画「毎日がアルツハイマー」として発表しています。最新作は第3弾です。
母は魅力的な被写体です。良妻賢母として堅実に生きてきた人が、認知症になり、世間体やしがらみから徐々に解放され、好き嫌いをはっきり言うようになった。仮面を脱ぎ、本音で生きていると感じています。
介護を始めて、9年目になりますが、心に余裕を持つように心がけています。デイサービスや訪問看護といった公的サービスを利用し、自分の時間を作っています。「介護は家族で」と頑張りすぎると、心身ともに追い詰められがちです。プロの力を借り、自分を含めたチームでケアする気持ちが必要だとつくづく思います。
最新作のテーマは「死」。母が何度も倒れたり、私自身の入院中に知り合った高齢女性が、がんの緩和ケアを受けて亡くなったりしたことが、命にどう向き合うべきかを考えるきっかけになりました。
スイスで「自死ほう助」を行うクリニックも撮影しました。そのクリニックでは、患者が家族と話し合った上で、医師が準備した致死薬物入りの点滴を、患者自身が使い、命を絶ちます。
死は誰もが向き合いたくないことかもしれませんが、避けることもできない。だからこそ、どんな最期を迎えたいのかを、私たちはもっと家族などと話し合うべきではないでしょうか。
最後に撮る作品は、自らの死をテーマにしたいと考えています。ただ、作品の完成に立ち会えないのは残念ですね。
◇ せきぐち・ゆか 61歳。横浜市出身。映画監督。「毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル~最期に死ぬ時。」は9月以降、横浜、愛知、大阪、広島などで公開が予定されている。
(板垣茂良)
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