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スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やす

コラム

筆者も不覚!…「バシン」と衝撃 注意したい中高年のアキレス腱断裂

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手術しなくても治せる

 アキレス腱断裂は手術しないと治らない、と考えている方が多いかもしれませんが、実は手術しなくても治ります。足関節を底屈させ、断裂した腱の端同士が近い位置になるようにしてギプスで固定します。途中、足関節の底屈角度を徐々に減らせる装具に替えることが多いですが、通常は2~3か月固定することで、断裂した腱の端同士がくっついていきます。手術より再び断裂する率が高いことや、スポーツへの復帰まで時間がかかるという報告もありますが、この固定する方法によりスポーツへの完全復帰もできます。

 一方、手術をした場合も術後の固定は必要です。感染などの合併症が生じる可能性もあります。

 Oさんは手術でアキレス腱を縫合することを選択しました。

 それでは、Oさんの経過です。

 Oさんはアキレス腱縫合術を受け、ギプスで固定しました。術後2週間で、ギプスの代わりに足関節の底屈角度を調節できるアキレス腱用の装具に切り替えました。術後2か月から装具なしでの歩行を練習し、術後4か月からジョギング、次いでランニングを開始しました。理学療法士から体のコンディショニングについても指導され、術後8か月でラグビーの動きができるようになりました。

予防には、普段から十分なストレッチを

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けがをした直後の研修会。何というタイミング……

 このコラムを始めてそろそろ1年になりますが、まさか自分のけがをテーマにするとは想定外でした。今回のアキレス腱断裂は、果たして、予防ができるものだったのでしょうか。自分の受傷シーンを思い出してみても、もし次に同じ場面があった時、その瞬間に断裂を回避する動きができるとは思えません。

 しかし、ここ数年、ランニングでアキレス腱に炎症が出たことや、急な切り返し動作で下腿三頭筋の肉離れをしたことがあり、コンディショニングが不十分でした。コンディショニングがしっかりできていれば断裂を防げたかどうかはわかりませんが、少しでもけがを減らすために、しておくべきことはありました。

 股関節や足関節の周囲が硬くなってきていることは自覚していましたから、日頃から、十分なストレッチを行っておくべきでした。また、普段ダッシュすることがないので、ダッシュに必要な下腿三頭筋の収縮がうまくコントロールできていない状態でした。ただランニングをしていれば十分なわけではなく、ダッシュや切り返し動作も含めて、普段からアジリティ( 敏捷(びんしょう) 性)やクイックネス(俊敏性)のトレーニングを行っておくべきでした(下の写真)。

 けがを減らす取り組みを呼びかけている自分がけがをしたという情けない話でしたが、今後は自分のケアもしっかりやっていくつもりです。夏が終わると運動会シーズンがやってきます。保護者参加の競技に出る方も十分注意してくださいね。(大関信武 整形外科医)

【スポーツ医学検定のご案内】

 私たちは、スポーツに関わる人に体やけがについての正しい知識を広めて、スポーツによるけがを減らすために、「スポーツ医学検定」を実施しています。スポーツ選手のみでなく、指導者や保護者の方も受けてみませんか(誰でも受検できます)。

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 第4回の申し込みを ホームページ で開始しています。第1回から3回の合格者については、合格認定カードの申し込みもHPで行っています。
 本文のイラストや写真の一部は、 「スポーツ医学検定公式テキスト」(東洋館出版社) より引用しています。

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Ozeki-7-pro

大関信武(おおぜき のぶたけ)

整形外科医・博士(医学)
一般社団法人日本スポーツ医学検定機構代表理事

1976年大阪府生まれ、兵庫県立川西緑台高校卒業。
2002年滋賀医科大学を卒業。2014年横浜市立大学大学院修了。横浜市立大学付属病院、横浜南共済病院、関東学院大学ラグビー部チームドクター、英国アバディーン大学研究員などを経て、2015年より東京医科歯科大学再生医療研究センター所属。現在、東京医科歯科大学付属病院スポーツ医学診療センター、八王子スポーツ整形外科などで診療。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。野球、空手、ラグビーなどを通じて、アキレス腱断裂、野球肘、肩関節脱臼、足関節靱帯損傷、骨折(鼻骨、手首、下腿)など自身が豊富なケガの経験を持つ。スポーツのケガを減らしたいとの思いで、2015年12月一般社団法人日本スポーツ医学検定機構を設立し、「 スポーツ医学検定 」を開催している。

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