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医療・健康・介護のコラム
筆者も不覚!…「バシン」と衝撃 注意したい中高年のアキレス腱断裂
どうも、大関です。先月、熱中症のコラムを書きましたが、記録的な暑さになったこの夏、ニュースでも熱中症の話を聞かない日がありませんでした。個人で行う熱中症対策だけでなく、試合や大会の運営などの再検討も必要です。
さて、私事になりますが、スポーツ医学のコラムを書いている身でありながら、最近、けがをしてしまいました。左アキレス 腱 の断裂です。同世代のみなさんも注意してくださいね。
というわけで、今回は「Oさん」こと私、「40代男性」のケースです。
ラグビースクールでコーチをしているOさんは、ある日曜日、練習前にタッチフット(タックルの代わりにタッチをし、タッチされた選手は止まるルール)を行っていました。やや、それたパスを取ろうと踏ん張った際、アキレス腱の後方にバシンという衝撃を受け、そのまま倒れこみました。Oさんが後ろを振り返っても誰もいません。自力で何とか立ち上がり、かろうじて歩けましたが、走ることはできませんでした。
筋肉や腱が伸びにくくなっている中高年
アキレス腱は、 下腿 三頭筋(下の図)が 踵 の骨に付着する部分にあり、人体では最大の腱です。そのアキレス腱が断裂するとなれば、どれほど強大な衝撃があったのか……と想像するかもしれません。しかし、アキレス腱は、直接、大きな外力が加わって断裂するわけではありません。
下腿三頭筋が収縮すると、アキレス腱を介して足関節が底屈(下の図)します。アキレス腱断裂は、アキレス腱が伸びている足関節の背屈(底屈とは反対につま先を上げる動き)の状態から急激に底屈させる時、下腿三頭筋が収縮する負荷がアキレス腱にかかり、断裂すると考えられます。瞬発的に前に出る動作で受傷することが多く、サッカーやフットサル、バスケットボール、テニス、剣道など幅広いスポーツで発生します。20代から40代に発生頻度が高く、中高年の場合は、筋肉や腱の柔軟性が低下していることや、普段から体を動かしていないことなどが背景にあります。
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