Dr.三島の「眠ってトクする最新科学」
医療・健康・介護のコラム
真夏の怪談! ゾンビのごとくよみがえる「サマータイム法案」が健康を脅かす
つい先日、政府・与党が「サマータイム導入に向けて本格検討に入った」という報道がありました。暑さが厳しくなる6~8月を中心に、数か月間に限って全国一律に時刻、つまり時計の針を2時間進める法案を、今秋の臨時国会に提出するというのです。後で理由をご説明しますが、「またか!」と驚きを禁じ得ませんでした。
出勤や登校の時刻が、ある日を境に2時間早くなったり遅くなったりするのですから、生活や健康への影響は甚大です。この法案については官房長官が慎重な発言をするなど、実際に法案が提出されるかまだ分かっていません。しかし、「火のないところに煙は立たない」と言いますので、 牽制 の意味も込め、今回はサマータイムの功罪について取り上げたいと思います。
戦後に導入 結局は長時間労働に…
サマータイムは、欧米では「デイライト・セービング・タイム(Daylight Saving Time;DST)」と呼ばれています。米国の場合、3月の第2日曜の午前1時59分59秒の次を3時00分00秒に時計を1時間進め(夏時間の始まり)、11月の第1日曜には同様に1時間戻します(夏時間の終わり)。
夏は日の出が早いので、仕事も学校も早めに始めて早めに切り上げる、そうすれば仕事場や学校での照明や冷房を節約できる、省エネ(温室効果ガス削減効果)が期待できる、というのが一番の趣旨です。
サマータイムが欧米で取り入れられたのは第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけてで、その時代は電気が今ほど普及しておらず、また代金も非常に高かったため、サマータイムのメリットも大きかったと思います。
ただし省エネ効果があるのは、あくまでも「早出の分だけ早く退社できれば」の話であって、帰宅時間が変わらなければ長時間労働になるだけで、省エネ効果も期待できません。戦後間もなく、まだ占領下にあった日本でもサマータイムが試験導入されましたが、さすが勤勉な日本人と言うべきでしょうか、労働時間が長くなってしまうという理由で反対の声が大きくなり、4年で中止されました。
また、日本の夏は高温多湿のため夕方以降もエアコンが必須です。会社の電気代は節約できても、各家庭が電気代を負担して使い続けるだけで、省エネ効果が果たしてどれだけ期待できるか疑問視する識者も少なくありません。
夏時間に切り替え、交通事故や心筋梗塞が増加
「サマータイムには経済波及効果がある」という推進派の意見もあります。おそらくサマータイムを推す議員さんのモチベーションも、ここら辺が一番大きいと思います。ところがなかなか皮算用通りにはいかないようで、さまざまな異論があります。ただ、本コラムの趣旨から外れるので深掘りしません。
私たち医療者が心配しているのは、「サマータイムによる健康被害」です。特に夏時間に移行してからの数週間は、「睡眠不足による交通事故死の増加」「不眠や起床困難」「日中の心身の不調」「心筋梗塞の増加」など様々な健康被害が生じることが、数多くの研究で明らかになっています。そのため、睡眠医学の専門家の中でサマータイムに賛成する人間は全くといっていいほどいません。
1 / 2
【関連記事】
ウインタータイムの方が…
もも
エネルギー消費を抑えたいならウインタータイムでは?夏は早く帰っても、寝てる時もエアコンつけるくらいだから、サマータイムで省エネはないと思う。それ...
エネルギー消費を抑えたいならウインタータイムでは?夏は早く帰っても、寝てる時もエアコンつけるくらいだから、サマータイムで省エネはないと思う。それもみんなが帰れば、一部屋一部屋。どう考えても会社や学校にいるのより余計に電力使うのでは?
冬は寝てる時はつけてません。そして冬は自然と眠くなります。時計を遅らせるなんてケチなこと言わずに、働く時間や学校にいる時間を夏より1時間減らして、早く帰って早く寝るか、朝1時間長く寝かせるかすればいいのに。
そうすると多分、かなりの節約だと思うけどなあ。
つづきを読む
違反報告
工場は二交代/三交代制
MACO-POOh
工場では二交代制/三交代制です。 サマータイム以上に健康被害が甚大だと思うのですが。
工場では二交代制/三交代制です。
サマータイム以上に健康被害が甚大だと思うのですが。
違反報告