子どもの健康を考える「子なび」
医療・健康・介護のコラム
不慮の事故(7)赤ちゃん ペットにかまれ危険
不慮の事故では、小児科医で緑園こどもクリニック(横浜市)院長の山中龍宏さんに聞きます。(聞き手・萩原隆史)
もうすぐお盆休み。子どもさんと一緒に帰省する方も多いのではないでしょうか。気を付けていただきたいのは、帰省時に起こりやすい事故です。
ある日の昼下がり、生後4か月の男児が母親の実家の居間で昼寝をしていました。母親が部屋を離れて15分ほどたった頃、孫の様子を見に行った祖母は驚きました。おむつにかまれた跡があり、出血していたのです。
「犯人」はペットの小型犬、ミニチュアダックスフントでした。すぐに救急搬送されましたが、結果は深刻でした。右側の 睾丸 が砕けており、直ちに摘出手術が行われました。
ペットが餌を食べている時に手を出したり、しっぽを引っ張ったりすれば、かまれる恐れがあります。ですが今回けがをしたのは赤ちゃんで、犬にいたずらする年齢ではありません。
「うちのペットはとてもいい子」と信じていても、何かに突然反応することがあります。今回の事故も、はっきりしたことは分かりませんが、おむつのにおいに反応したと考えられます。以前、赤ちゃんの顔についたミルクに犬が反応し、頬をかじったケースもありました。
犬は序列を作り、自分より低い立場の人に攻撃的になることも知られています。赤ちゃんを低位とみなし、攻撃的になったのかもしれません。それに今回かんだのは小型犬とはいえ、元々は猟犬。赤ちゃんがかまれたら、大けがは避けられません。
こうした事故は、帰省先でよく起こります。昨年3月には、親の実家でハイハイしていた生後10か月の女児が、ペットの大型犬ゴールデンレトリバーに頭をかまれて亡くなる事故もありました。赤ちゃんを決してペットの犬と同じ平面で遊ばせたり寝かしたりせず、犬に口輪を着けるなどの対策が必要です。
【略歴】
山中龍宏(やまなか・たつひろ)
1947年、広島市生まれ。小児科医。東京大医学部卒。子どもの事故防止に取り組むNPO法人「セーフ キッズ ジャパン」(東京)理事長、消費者庁の消費者安全調査委員会専門委員。
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赤ん坊から見て、親の実家はよその家。
親の実家の犬から見て、赤ん坊は部外者。
まして、室内とはいえ放し飼いにしているなら、
見張りの一つも立てないのは不用心すぎる。
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