健やかキッズ
妊娠・育児・性の悩み
留守番 親子で約束決める
鍵はキーケースに 刃物は使わない
夏休み中は、子どもが家で過ごす時間が長くなる。両親ともに働いている場合などは、子どもだけで留守番をすることもあるだろう。子どもが安全に留守番をするには、どういった注意点があるだろうか。
インターネット調査を手がけるイード(東京)が2015年、5~9歳の子を持つ母親500人に実施した調査によると、子どもの安全に不安を感じる場面(複数回答)として、「家での留守番」という回答は21%だった。
セコムIS研究所(東京)主務研究員の舟生岳夫さんは「子どもは成長の度合いや性格、環境などにより、できることに差があります。普段のコミュニケーションを通して子どもの様子を見極め、押しつけにならない形で、留守番での約束事を作ってはどうでしょうか」と提案する。
まず、子どもに自宅の鍵を持たせる場合、盗難や紛失を防ぐ工夫が必要だ。ヒモに結んで首からぶら下げるのは、事故の恐れがあるため避けたい。子どもの危険回避研究所(東京)の横矢真理所長は、子ども用のキーケースの利用を勧める。「ケースに入れておけば鍵を持っていることが知られにくい。カバンや腰のベルトに固定するなどして、ケースを体から離さず持ち歩かせましょう」と横矢所長。
子どもが帰宅時に玄関のドアを開ける際は、周囲を確認し、鍵を素早く取り出して開けさせる。親の不在を悟られないよう「ただいま」と声を出して屋内に入り、すぐに施錠させる。「最も危ないのはドアを開けた瞬間に押し入られること。ドアの前で手間取らないよう、親子で帰宅する際などに練習してみるとよい」と舟生さん。
留守番をしている時、宅配便の配達や、電話がかかってくることも想定される。舟生さんは「子どもの応対に不安がある場合は、来客にも電話にも出させないのが無難」と話す。宅配の荷物は親がいる日時を指定して届けてもらったり、宅配ボックスを設置したりする手もある。
留守中に子どもが遊びに出かけたり、自宅に友人を招くこともあるだろう。出かける場合は行き先や帰宅時間、同行する相手の名前などを確認しておく。横矢所長は「自宅に友達が来ると、うっかりして玄関の鍵をかけ忘れることもあるので注意してください」と話す。
親も留守番の前に準備をしておこう。窓の鍵をかけるなど戸締まりを確認し、ガスの元栓は閉める。ライターなど危険なものは子どもに見つからない場所にしまい、包丁などの刃物は使わないように約束する。舟生さんは「どんなリスクがあるかという視点で自宅の中を点検してみて」と助言する。
災害やけが、病気などに備え、親の携帯電話の番号を伝え、常に子どもと連絡がとれるようにしておく。留守番中の子どもの様子をスマートフォンで確認できるネットワークカメラなども登場している。親子で会話ができる機種もある。緊急時に子どもの様子を見に行ってもらえるような近所づきあいがあれば、安心感につながる。
埼玉大教育学部の吉川はる奈教授(子どもの発達・子育て支援)は「留守番は、親が安全面で最大限の配慮をすることが前提」としたうえで、「親との約束事を守ることで子どもが自分の成長を感じ、自立心が芽生えるきっかけにもなる。帰宅した時には子どもに『助かったよ』と声をかけてあげて」と話す。
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。