体臭を抑える食事法(上)消臭の王様は梅干し、加齢臭には緑茶 ニオイを防ぐなら和食を!

ニオイは「体内」「皮膚面」「腸内」から

 体のニオイは「体内由来の体臭」「皮膚面由来の体臭」「腸内由来の体臭」の3つに大きく分けられますが、それらのニオイの元は全て口から入った食べ物です。ですから、体臭の予防は「食事に始まり食事で終わる」と言っても過言ではないでしょう。

 基本は、まずニオイ成分の原料となる食材をできるだけ控えること。そして、ニオイを抑える食材を積極的に摂取することです。

 ニオイ成分の原料となる食材には、動物性のたんぱく質と脂質があります。前者は分解されるとアンモニア、インドール、硫化水素など「腸内体臭」の原料になり、後者は加齢臭や皮脂臭の原料となります。ですから、体臭予防の第一歩は、「肉食をできるだけ控えること」です。

 しかし、たんぱく質は体の構成要素になり、脂質はエネルギー源や細胞膜の構成要素にもなる大切な栄養素です。全く食べないわけにはいきません。お肉が大好きな人も多いでしょう。そこで大切になるのは、肉食をしたら「同時に消臭食品をバランスよく食べる」ということです。

ファーストチョイスはアルカリ性食品

 積極的に食べたほうがよい消臭作用のある食材は、大きく3つのジャンルに分けられます。

 第一のジャンルは「アルカリ性食品」です。体液はほぼ中性に保たれていますが、食事によって酸性傾向に傾く場合とアルカリ傾向に傾く場合があります。実は体臭予防に最も理想的なのは、「皮膚面は弱酸性で体内は弱アルカリ性」です。

 皮膚面には善玉の常在菌がいて、弱酸性に保ち、病原性の強い菌の繁殖を防いでいます。つまり皮膚面が弱酸性であれば、強いニオイをつくる菌の繁殖が抑えられ、体臭も予防されます。しかし体内は、これとは逆です。酸性傾向にあると、「ダイエット臭」のケトン体や「ミドル脂臭」の元になる乳酸などの酸性のニオイ成分が生じ、「体内体臭」の原因となるのです。体液を弱アルカリ性傾向に保つ「アルカリ性食品」を食べることは、体臭予防のファーストチョイスと言ってよいでしょう。 

 体液を酸性傾向にする「酸性食品」には、牛肉や卵、マグロやカツオなど赤身の魚があります。それらを中和してくれる「アルカリ性食品」の代表は梅干しです。次にワカメ、メカブ、モズクなどの海藻、そしてホウレンソウやコマツナなどの緑色野菜や大豆製品があります。

 梅干しは、体臭予防の王様です。それだけでなく、梅干しの殺菌作用は口臭を予防し、含まれているクエン酸は汗のニオイも抑えます。体内で酸・アルカリのバランスがとれていることは、健康である証拠です。体臭を予防するバランスよい食事法をすれは、健康を保つことにもつながります。

皮膚からのニオイを防ぐビタミンCとE

 第二のジャンルは、「抗酸化食品」です。「皮膚面由来の体臭」には加齢臭やストレス臭がありますが、これらは皮脂腺の皮脂が活性酸素に電子を奪われて酸化することで生じます(皮膚面が酸性になるわけではありません)。活性酸素には細菌の侵入を防ぐなどプラスのはたらきもありますが、反面、老化を進める要因にもなり、ニオイの原因も作ります。

 この活性酸素の活動を抑制する働きを「抗酸化作用」といいます。脂質の酸化と関係する体臭の予防には、毎日の食事で抗酸化作用のある食品を取る必要があります。また、皮脂腺の皮脂が酸化されているということは、体内の細胞や血液中の脂質も酸化されている証しです。生活習慣病の予防や身体の老化防止にも抗酸化食品は必要なのです。

 抗酸化物質の筆頭はビタミン類、特にビタミンCとEです。この両者はともに酸化を防ぎますので、一緒に摂取するとよいでしょう。ビタミンCは人間の体の中で作ることができません。また取りだめもできません。ですから、朝昼晩の食事でこまめに取るのが効率的です。ビタミンCは、パセリ、ホウレンソウ、コマツナなどの緑色野菜やレモン、アセロラ、オレンジ、キウイなどの果物や緑茶にも多く含まれています。加齢臭などの皮膚面由来の体臭には、食べ物から取るだけでなく、レモン汁タオルやビタミンC入りの美容液で皮膚をマッサージするのも有効です。

 ビタミンEは酸化しやすいので、植物油から摂取する場合は、ドレッシングなどにして非加熱のまま使うとよいでしょう。玄米や胚芽にも多く含まれているので、主食を玄米や胚芽米、胚芽入りのパンなどにしてビタミンEを取り、ビタミンCの多い野菜や果物と一緒に、コンスタントに摂取するのがお勧めです。

カテキン、タンニン、イソフラボン…

 もう一つの強力な抗酸化物質は「ポリフェノール類」です。ポリフェノールというのは、水酸基(-OH)のついたフェノール環構造をもつ分子の総称で、たくさんの種類があります。ポリフェノールは、抗酸化作用によって皮脂臭を抑えるだけでなく、その水酸基がニオイ分子のアミノ基と化学反応をしたり、細孔構造がニオイ分子を活性炭のように吸着したりと、直接的な消臭作用もあります。

 代表的なポリフェノールは、お茶の「カテキン」や「タンニン」、大豆の「イソフラボン」、ゴマの「セサミノール」、ニンジンの「カロチン」、緑黄色野菜の色素成分の「アントシアニン」、しょうがの「ショウガオール」など。リンゴ、ナシなどバラ科の果物、お酒では赤ワインにも大量に含まれています。つまり、野菜や果物をバランスよく食べることで、体の老化を防止すると同時に体臭を予防できるのです。

 カレーに使うターメリックやわさびなどの香辛料、パセリ、シソなどもポリフェノールが豊富です。単なる添え物ではなく、強力な消臭食品なのです。

 飲み物では、お茶の「カテキン」以外にも、コーヒーには「カフェ酸」、紅茶には「テアフラビン」、ウーロン茶には「ウーロン茶ポリフェノール」、ココアには「カカオマスポリフェノール」があります。このうちニオイに効く成分は、緑茶、ウーロン茶、紅茶の順に多く含まれています。

 抗酸化力をつけるには、鉄や亜鉛などのミネラルを一緒に摂取することも必要です。その意味では、ひじきやレバー、カキなども間接的に抗酸化作用のある食材といえるでしょう。

オリゴ糖で腸の善玉菌を育てる

 第三のジャンルは、「腸内環境を整える食材」です。腸内には100種類、1兆個もの細菌がすみついていますが、このうちビフィズス菌などの善玉菌は腸内で食べ物の消化吸収を助け、腐敗を予防してニオイ分子の発生を抑えます。その一方、ウェルシュ菌などの悪玉菌は腸内のたんぱく質を腐敗発酵させ、アンモニアやインドール、硫化水素などの有害なニオイ物質をつくります。腸内の細菌 (そう) (細菌の集まり)のバランスが崩れ、善玉菌が減少して悪玉菌が増加すると、ニオイ物質が便臭を強くするだけでなく、腸管から吸収されて最終的には汗や皮膚ガスとして発散され「腸内体臭」の原因ともなります。実は、これらの有害なニオイ分子は発がん性なども報告されており、腸内環境を整えることは、体臭予防だけでなく病気の予防にもなるのです。

 腸内環境を整える3本柱があります。

 まず、乳酸菌です。腸内の善玉菌を増やすためには、ヨーグルトを食べて乳酸菌やビフィズス菌を直接補給することが有効です。ただし、口から摂取したビフィズス菌は胃の酵素によってあらかた死滅してしまうので、毎日欠かさず食べるとよいでしょう。

 次に、善玉菌のエサとなるオリゴ糖を取って腸内の善玉菌を元気に育てることです。オリゴ糖をたくさん含む食材には、大豆、ゴボウ、アスパラガス、タマネギ、蜂蜜などがあります。 

 3つめが、悪玉菌や腸内で生じたニオイ物質をまとめて吸着し、便として排出してくれる「食物繊維」です。食物繊維には、水に溶けない「不溶性食物繊維」と溶ける「水溶性食物繊維」があります。

 セルロースなどの「不溶性食物繊維」は、便をやわらかくして量を増し、腸壁を刺激するため、排便がスムーズになります。腸内の滞留時間を短縮するため、ニオイ物質の腐敗や体内への吸収も抑えてくれます。特に豆、ココア、切り干し大根などに多い「リグニン」は、ニオイ分子の腸管からの吸収を抑え、ポリフェノールと似た直接的な消臭作用もあります。

 ワカメやメカブ、モズクなどのヌルヌル成分の「アルギン酸」や「フコイダン」などの「水溶性食物繊維」は、善玉菌のすみかとなるだけでなく、ニオイ物質を吸着して包み込み便として排出してくれます。腸壁からニオイ物質が体内に吸収されるのを防ぎ、コレステロールなどの脂質の吸収も抑え、「皮脂臭」の予防にもなります。

体臭を防ぐ食生活は健康も保つ

 以上のように、体臭予防の基本は、ニオイの原料となる動物性のたんぱく質や脂質の摂取を少なくして、逆に消臭食材を積極的に摂取することです。

 体臭予防に有効な消臭食材は、「アルカリ性食品」と「抗酸化食品」と「腸内環境を整える食品(特に食物繊維)」の3つのジャンルにあてはまる食材です。ほとんどが和食の食材なのがわかります。日本人が元々体臭の少ない民族と言われるのには理由があるのです。その中でも特に、メカブなどの海藻類、緑色野菜、大豆製品、柑橘かんきつ類やリンゴなどの果物は、3つのジャンル全てに重なりますので、積極的に摂取すべき優れた消臭食品といえるでしょう。体臭を予防する食事法は、健康を保つ食生活とほとんどイコールであり、結果的には健康法にもなるのです。

 今回は、体臭を予防する食品について少し詳しく説明しました。分かりにくいところもあったかもしれませんので、次回はより具体的に、体臭を予防する食事の取り方や、反対に「ダイエット臭」などを注意しなければいけないケースについて説明しましょう。(五味常明 五味クリニック院長)

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