依存症
シリーズ
ギャンブル依存 私の物語(1)元関脇 貴闘力さん
気迫では やめられない
「民営ギャンブル」を可能にする統合型リゾート(IR)実施法が7月に成立した。新たなギャンブルの登場で依存への懸念も高まる。カジノなどのギャンブルに熱中して容易に抜け出せなくなる――その怖さを知る2人に聞いた。
◇
激しい突っ張りで大相撲の土俵を沸かせた元関脇の貴闘力さん(50)は、数多くのギャンブルにのめり込むことになった。父親がギャンブル好きで、少年時代は、憎むべき対象だったにもかかわらず――。
十両昇進が決まった1989年頃、化粧まわしや着物を作るために用意した400万円を知人に持ち逃げされた。ほかに方法が思いつかず、手元に残っていた10万円を握って都内の競馬場に行き、名前も知らない馬に全額を賭けた。
「信じてもらえないだろうけれど、大当たりして、失った400万円を一気に取り返した。それからパチンコも競馬もマージャンもカジノも何でもやった」
勝っても高価な品を買うわけではない。「もっと大きな勝負ができる」と喜び、次のギャンブルに賭け、最後は負けた。一晩で数千万円を失ったこともある。借金が増えていった。
稽古も場所中も、ギャンブルと借金のことで頭がいっぱい。2002年に現役を引退し、親方として後進を指導する立場になっても、やめられなかった。
この記事は読者会員限定です。
読売新聞の購読者は、読者会員登録(無料)をしていただくと閲覧できます。
読売新聞販売店から届いた招待状をご用意ください。
一般会員向け有料サービスは2020年1月31日をもって終了いたしました。このため、一般会員向け有料登録の受け付けを停止しております。