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自閉症スクリーニング検査、求められる精度の向上

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自閉症スクリーニング検査、求められる精度の向上

 ノルウェー北極大学などの研究グループから、自閉症児の早期発見を目的に行われるスクリーニング検査に関する研究結果が報告された。生後18カ月時点で受けるスクリーニング検査にはパスしたが、その後自閉症スペクトラム障害と診断された子どもは、18カ月時点で既に、社会的コミュニケーション能力と運動能力の遅れが特に女児で強く、男児では人見知りが強いといった臨床的特徴を示していたという。同グループは、こうした特徴を踏まえて自閉症スペクトラム障害の早期診断ツールをさらに改善していく必要があるとしている。研究の詳細は、医学誌「Pediatrics」2018; e20173596 )に掲載されている。

6項目中、2項目以上の「いいえ」で陽性

 自閉症スペクトラム障害は、社会的コミュニケーションの取りづらさがあり、限定的な行動や興味、反復行動などが現れる障害だ。どのような症状がいつ現れるかについては個人差が大きく、必ずしも決まった年齢で症状が現れるとは限らない。この点から、2013年に改訂された『精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)』では、発症年齢に関する規定が削除された。

 自閉症スペクトラム障害への支援には、早期発見が欠かせない。早期発見を目的に行われるスクリーニング検査には、子どもの状態に関する質問に保護者が回答する「乳幼児期自閉症チェックリスト修正版(M-CHAT)」が用いられる。ただし、スクリーニング検査についての過去の研究は、医療機関を受診した人を対象としたものがほとんどで、一般の人にとって十分な精度を保ちうるかは不明だ。

 そこで研究グループは、生後18カ月時に受けたスクリーニング検査で陰性と判定された子どもを、後に自閉症スペクトラム障害と診断された「偽陰性群」と、陰性のままだった「真陰性群」に分け、18カ月時の発達や気質の違いを男女別に比較した。

 対象は、ノルウェー母子コホート研究に参加し、生後18カ月時点で自閉症スペクトラム障害のスクリーニング検査を受け、陰性とされた子ども6万8,197人。そのうち女児は49.1%だった。スクリーニング検査では、保護者に対して次の6項目についての質問が行われた。<1>他の子どもに関心を示すか、<2>興味のあるものを指さすか、<3>興味のあるものを見せに来るか、<4>人の真似をするか、<5>名前を呼ばれて反応するか、<6>指をさしたものを目で追うか―。6項目中2項目以上、該当しなかった場合に「陽性」と判定された。

男女で異なる臨床的特徴

 その結果、偽陰性の子どもは、真陰性の子どもに比べて、社会的コミュニケーション能力、運動能力の発達に遅れが見られた。この遅れは、女児で顕著だった。また、偽陰性の男児は、真陰性の男児よりも人見知りの傾向が強かった。しかし女児では、逆の傾向が見られた。

 今回の結果について、研究グループは「こうした特徴を明らかにしたのは、本研究が初めてだ」と評価。さらに「この知見からわれわれは、自閉症スペクトラム障害のスクリーニング検査の感度向上のためには、親への調査で明らかとなる早期に出現する発達の遅れや異常だけでなく、早期マーカーとなりうる男女別の特徴についても理解を深める必要性がある」との考えを強調した。(あなたの健康百科編集部)

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