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2歳から性教育!? 年齢に応じた言葉・内容で…命の尊さ伝える

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 子どもにいつから、どう性の話をすればよいか戸惑う大人は多い。インターネットにアダルト情報があふれる時代、より早いうちから教えるべきだという声があがっている。性教育の現場を訪ね、家庭も含めて、子どもたちへの伝え方を考えてみた。(野倉早奈恵)

2歳から性教育!? 年齢に応じた言葉・内容で…命の尊さ伝える

「排卵される卵子は毎月一つ。卵子が受精できるのは約24時間と言われています」と中村さん(右)が女性の体の仕組みを説明する(岐阜県岐南町の町立北小で)

 「これから命の成り立ちの話をします」。岐阜県岐南町の町立北小学校の教室で、助産師の中村暁子さん(49)が6年生約80人と保護者ら約60人に語りかけた。

 中村さんは、同県各務原市の市民団体「お母さんたちの『いのちの授業』ここいく」代表。母親たちが集まって2016年に結成し、園児から思春期世代までを対象として、発達に合わせた性の講座を県内で年に30回ほど開いている。この日は同校PTAの依頼で1時間半の授業を行った。

 紙芝居や寸劇、模型も使って、性交から受精、誕生までを説明。最初はニヤニヤしていた児童たちも「別の精子が卵子と出会ったら違う子が生まれた」と聞いて真剣な表情になった。「年齢に応じた言葉で、丁寧に話せば子どもは理解する。命の尊さを正しく伝えられる大人を増やしたい」と中村さん。授業を企画した岩田夏子さん(36)は、「大切だと思いつつ、3人の息子にどう伝えたらいいかわからなかった。命の大切さという観点で子どもに話してみたい」と話した。

「寝た子を起こすな」と言われるが…

 子どもが性の情報に触れる年齢は早まっている。NPO法人「ピルコン」(東京)は、今年春に17~82歳の男女314人にインターネット調査を実施。「0~12歳未満で性交、セックスという言葉を知った」人の割合は、35歳以上では45%だったのに、34歳以下では65%。どちらの世代も情報源は「友だち」「漫画」「雑誌」が上位を占めたが、34歳以下の世代の4位に「アダルトサイト」(9%)が入った。

 ピルコン理事長の染矢明日香さん(32)は「性教育で『寝た子を起こすな』と言われるが、実態として子どもはすでに起きてしまっている。誤ったネット情報に触れて、子どもが『性は下品で隠すもの』という印象を持ってしまう」と危惧する。ピルコンでは、中学生を対象に、妊娠や避妊の正しい知識に加え、性的少数者(LGBT)や「デートDV」なども説明。「性は豊かな関係を育むが、暴力につながる面があるという点も伝えたい」と話す。

 秋田県では、県教委が医師ら専門家と協力して、思春期特有の体の悩みや性の知識を伝える授業に取り組む。きっかけは、10代の中絶率が全国平均より高かったこと。2000年から高校で始め、04年から中学に広げた。「命の大切さがわかった」といった感想も寄せられ、中絶率は10年から全国平均を下回る。

 性教育の現場に詳しい埼玉大教授の田代美江子さん(ジェンダー教育学)は「ネット上で子どもの性の商品化や性暴力が 蔓延まんえん しているのに、適切な性教育はほとんど行われていない」と指摘。中学校の学習指導要領でも、妊娠の経過(性交など)は扱わないとしている。「性教育で性を肯定的に捉え、性を語るのは恥ずかしくないという意識を育てれば、性暴力などの危険に接した時にも周りの大人に相談しやすくなる。子どもにとって、家庭でも性について真面目に話をする体験が大切です」と勧めている。

小島慶子さん「性教育は2歳頃から」

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小島慶子さん

 子どもと性について話すにはどうしたらよいのだろう。

 エッセイストの小島慶子さんは、現在、高校1年生と中学1年生になった2人の息子への性教育を振り返って「我が家の性教育は2歳頃から始まった」と振り返る。

 一緒にお風呂に入った時、「ママのここは何?」と体について質問された。「いい質問だね。君はここから出てきたんだよ」と答えると「こんな小さいところから?」と子どもが驚いた。すかさず「よく気が付いたね。赤ちゃんが通る時は広がるんだよ。ママのおなかの中の道をぐるぐる回りながら頑張って出てきたの」などと、次から次へと一問一答形式で答えたという。

 ブロック玩具が好きだった息子たちには組み立ての際に使う「設計図」という言葉で卵子と精子の役割を伝えたという。その結果、低学年までに男女の体の違いや命の誕生の仕組みなどを一通り教えられた。

 小島さんは、自身の体験をもとに「体のこと、性に関することを聞かれた時に、恥ずかしがったり、照れたりしない大人の態度が大切」とアドバイスする。「二次性徴の前の方が話しやすいと思う。幼児に話す時も人の体はすごいね、不思議だねという驚きと感動を伝えながら、命への敬意を持って話しました」

ユネスコ作成の手引、幼少期から開始推奨

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 性教育については、国際的な手引がある。

 国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)は、2009年に専門家の協力を得て、教育機関などで取り組む性教育に関する手引をまとめ、今年改訂版を発表した。09年版の邦訳も「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」(明石書店)として出版されている。

 手引では、5~8歳で「卵子と精子が結合して赤ちゃんができること」を教えるなど、年齢に応じた学習目標を定めている=表=。

 子どもへの性教育活動に取り組む産婦人科医の遠見才希子さん(34)も「性教育は、ネットに触れる前の幼少期から始めた方が良い」と勧める。両親の失恋話やなれそめ、出産時のことなど、親の体験を交えると、子どもも興味を持って聞きやすいという。「うまく答えられない時は親も一緒に学べばいい。それこそ家庭での性教育の意義」と話している。

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