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医療大全

アルコール依存症

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依存症を支える(1)患者を責めず来院歓迎

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依存症を支える(1)患者を責めず来院歓迎

再発予防プログラムで使うテキストを手に、睡眠薬に依存していた頃を語るA男さん

 だらしない。自己責任でしょ――。

 薬物やアルコールがやめられなくなる依存症。病気だが、当事者の言動が理解されず、偏見をもたれやすい。精神科でも苦手意識を抱く医師は多い。

 医療現場では長く、患者を厳しく指導するのが当然と考えられていた。言っても聞かない。うそをつく。逃げる。だからこそ厳しく接し、どん底を経験させる必要がある、と。埼玉県立精神医療センター(同県伊奈町)副病院長で、薬物依存の治療に取り組んできた 成瀬暢也なるせのぶや さんは、そんなやり方に疑問を抱いた。

 「うつ病の人に落ち込むなと言ったり、認知症の人に物忘れはけしからんと叱ったりしないでしょ。でも、使ってしまうのが症状なのに、依存症の人は使うと非難されてきたんです」

 成瀬さんにかかる県内在住のA男さん(41)は十数年前、失恋をきっかけに、睡眠薬を目的外で飲むようになった。もともとは、出張先で寝付けないことが多くて処方してもらった薬。初めて飲んだとき、頭に電流が走るような快感を覚えた。怖くなって飲まずに保管していたが、手を出した。

 「飲んだ瞬間、つらさは消えた。気が付けば薬にすがるようになっていた」

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