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便失禁には「漏出性」「切迫性」の2種…服薬で直腸から出し切る

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便失禁には「漏出性」「切迫性」の2種…服薬で直腸から出し切る
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 意思に反して便が漏れる「便失禁」。治療の選択肢は増え、昨年には標準的な治療法を示す診療指針も初めて作られたが、病気としての認知度はまだ低い。埼玉県春日部市の男性(63)はテレビでこの病名を知り、飲み薬によって症状が大幅に改善した。(竹井陽平)

肛門括約筋の衰えで…

 便失禁には、気がつかないうちに漏れる「漏出性」と、便意は感じるが我慢できず漏らしてしまう「切迫性」の2種類がある。患者の内訳は、漏出性が半分程度、両方ともある人が3割ほどで、残りが切迫性だ。

 命に関わる病気ではないが、生活の質を大きく下げる。国内に推計で約500万人の患者がいる。

 原因として最も多いのは、肛門を締めたり緩めたりする肛門括約筋の機能が加齢などによって衰えることだ。そのほか、出産による括約筋の損傷、脊髄障害なども便失禁を引き起こす。

 肛門括約筋は、自分の意思では動かせない「内肛門括約筋」と、動かせる「外肛門括約筋」の2層構造になっている。内括約筋の衰えは漏出性便失禁に、外括約筋の機能低下は切迫性便失禁につながる。

 この男性は2016年頃から、知らずに漏れた便で下着を汚すことが多くなり、心配で外出も控えるようになった。誰にも言えずに悩んでいた時、便失禁を扱ったテレビ番組を偶然見た。

 17年2月、番組に登場していた埼玉県内の病院の医師、 味村みむら 俊樹さん(現・自治医大消化器外科教授)の診察を受けた。男性には、便の水分を吸収して切れを良くする薬が処方された。便を直腸に残さず、出し切るための薬だ。

 効果はてきめん。男性は失禁がなくなり、海外旅行も楽しめるようになった。薬は飲み続ける必要があるが、「体質だからと諦めず、ちゃんと治療して良かった」と喜ぶ。

 重症の場合は、腰に装置を埋め込み神経を電気刺激する「仙骨神経刺激療法」など外科治療もある。しかし、7割は薬や生活指導などでよくなる。日本大腸肛門病学会が昨年3月、初めてまとめた診療指針では、治療法が重症度別に整理された。

直腸を洗う治療も

 薬が効かない患者には、外肛門括約筋を鍛える骨盤底筋訓練のほか、直腸の中の便を洗う治療法がある。「経肛門的洗腸療法」と呼ばれるもので、今年4月から、脊髄障害の患者に保険が利くようになった。

 同療法は、専用の器具でぬるま湯300~1000ミリ・リットルを肛門から直腸に入れ、たまった便を出す。1~2日に1回行うと便失禁を防ぐことができる。

 背骨の中の神経が傷つく脊髄障害の患者は、肛門括約筋の機能低下に加え、便意を感じる神経の障害から、便失禁に苦しむ人が多い。今後は、他の原因による患者に保険適用の対象が拡大される可能性もある。

 味村さんは「指針が策定されたことで、治療できる医療機関も増えた。まずは病気について知ったうえで、適切な治療を受けてほしい」と話している。

 味村さんが監修したインターネットサイト「おしりの健康.jp」(http://oshiri-kenko.jp)は、専門の医療機関のリストや治療法の解説など、情報が充実している。

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