一病息災
闘病記
[お笑いコンビ 藤崎マーケット 田崎佑一さん]腎臓がん(2)仕事中も「死」が頭よぎる
人間ドックで腎臓がんの疑いを昨年9月に指摘され、2週間後に精密検査をすることになった。
相方のトキさんには、すぐには言わなかった。この2週間には、通常の仕事に加え、「歌ネタ王決定戦」、若手漫才日本一を決める「M―1グランプリ」の予選などが続く。
そもそも藤崎マーケットは、「M―1グランプリ」がきっかけで、2005年に結成した。
お笑い芸人になりたかった。学業との両立は難しいと考え、大学を卒業後、すぐ養成所に入った。M―1グランプリには、組んでいたコンビを解消後、当時ピン芸人だった4歳年下のトキさんと即席でコンビを組んで出場した。「ウソぐらいに滑った」。3回戦で敗退。「悔しなあ。本気でコンビ組まへんか」――。
だからこそ、相方のM―1グランプリへの思いがわかる。「相方がひときわ緊張する場。めっちゃかむ。病気のことを言ったら余計に動揺すると思って」
だが、頭には常に、死ぬかもしれないという思いがあった。魚を取るテレビ番組では「大漁ですね!」と言いながらも「(自分は)がんなんやなあ」。「歌ネタ王決定戦」で優勝し、賞金300万円とラーメン10年分を手にして「やったー」と叫んでいても、「お金使う前に死ぬかもしれんけど」――などと思ってしまう。
お客さんや妻のことを考えれば落ち込んだ姿は見せられないが、風呂で一人、急に寂しくなることもあった。
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お笑いコンビ 藤崎マーケット 田崎佑一さん(37)
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