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日本認知症ケア学会・読売認知症ケア賞

イベント・フォーラム

[第14回日本認知症ケア学会・読売認知症ケア賞](上)功労賞

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 認知症の医療や介護に功績のあった人や団体に贈られる「日本認知症ケア学会・読売認知症ケア賞」(日本認知症ケア学会主催、読売新聞社特別後援)の第14回受賞者が決まり、6月16日、新潟市の 朱鷺とき メッセで授賞式が行われた。長年の取り組みをたたえる功労賞に2人、現場での活動を評価する実践ケア賞に3団体が選ばれた。

 【主催】一般社団法人日本認知症ケア学会
 【特別後援】読売新聞社
 【後援】厚生労働省、新潟県ほか
 【協賛】エーザイ

功労賞

介護で尊厳守る…桜美林大学教授 白澤政和さん 69(三重県名張市)

[第14回日本認知症ケア学会・読売認知症ケア賞](上)功労賞

「認知症の人の意欲を引き出すケアマネジメントが大切」と話す白澤さん

 介護サービスの利用計画作成などを通じ、高齢者やその家族の生活を支える「ケアマネジメント」の研究を30年以上続けている。その経験から、「認知症の人が尊厳のある生活を送るために欠かせない」と強調する。

 認知症が進むと、徐々にできないことが増え、自信を失いがちという。だからこそ、ケアマネジメントには「観察や傾聴、生活歴の把握などを通じて、その人の潜在的な能力や意欲を引き出すことが求められている」と話す。自信の回復が、質の高い生活を送ることにつながると考えるからだ。

 介護現場と協力して行っている長年の事例研究が、その主張を裏付ける。介護施設で、花に強い興味を示す認知症の女性は、過去に華道の先生をしていた。施設内に花を生けてもらうようにしたところ、表情が生き生きしてきた。「自分の役割や居場所を見つけることは、誰にとっても大切」と確信する。

 丁寧な観察に基づくケアマネジメントは、妄想や 徘徊はいかい といった認知症の行動・心理症状の緩和にもつながる。例えば、暴力的な行為は、伝えたいことをうまく言葉にできない場合に起きることもある。「『はい』『いいえ』といった二択で答えられるようにする工夫で、改善も期待できる」と話す。

 介護保険制度の特徴は、介護支援専門員(ケアマネジャー)が介護の利用計画を作成することだ。その仕組みの導入に携わった一人として、ケアマネジャーが高齢者を介護サービスに結びつける役割にとどまりがちな現状に、物足りなさを感じている。「介護だけでその人の生活を支えることはできない。医療や住宅なども含めて、必要な社会資源を幅広くつなぐ要となってほしい」と期待を寄せる。

家族の悩み 共有…公益社団法人「認知症の人と家族の会」顧問 高見国生さん 74(京都市)

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「介護で苦労している者同士が助け合う家族の会は不滅です」と語る高見さん

 「認知症の人と家族の会」(本部・京都市)の創設以来、代表を37年間務め、家族のつどいの開催や電話相談、会報の発行で家族を支え続けた。「私自身、家族の会のおかげで母親の介護を続けられた。恩返しの気持ちだった」と振り返る。

 75歳の頃から症状が表れ始めた養母を、28歳の時から約8年間、介護した。行政の認知症施策がなかった当時、医師には「治りません。家でみるしかない」と突き放された。

 1979年11月、36歳の時、介護する家族が集まる場に初めて参加し、悩みを打ち明け、ほかの家族の苦労話を聞いた。「つらいのは自分だけじゃない」と気づき、「もう少し頑張ってみよう」と思えた。翌年1月、「 呆け 老人をかかえる家族の会」(2006年、「認知症の人と家族の会」に改称)を約90人で結成し、代表に就いた。

 京都府庁に勤めていた62歳までは、昼休みと退庁後に事務局へ行き、活動。「自宅に助けに来てほしい」「ちょっとの間だけ介護から離れたい」といった家族の切実な声を国に届けた。後に、ホームヘルパーやデイサービス、ショートステイ(短期入所)などの支援策が実現していった。

 家族の会は現在、全都道府県に支部があり、会員は約1万1000人。認知症への社会の理解も広がった。それでも「家族のつらさや悲しさは昔も今も同じ。癒やすことができる家族の会の役割はこれからも変わらない」と話す。

 人生の半分を活動にささげ、昨年6月、代表を退き顧問に就任。今は月に2~3日、家族の会の電話相談員を務める。「ぼけても安心して暮らせる社会の実現に向け、悩んでいる人の力になりたい」と力を込める。

 ▽選考委員長=今井幸充(和光病院院長)
 ▽選考委員=池田恵利子(あい権利擁護支援ネット代表理事)、 長田おさだ 久雄(桜美林大副学長)、加藤伸司(東北福祉大教授)、中村 ゆう (香川大教授)、堀内ふき(佐久大学長)、山本広海(読売新聞東京本社社会保障部長)(敬称略)

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