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高齢者の住まい探し(下)入居後は 社協が見守り

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安否確認 家財処分…大家の理解促す

高齢者の住まい探し(下)入居後は 社協が見守り

 孤独死などを懸念し、高齢者への賃貸に二の足を踏む大家や不動産会社に対し、入居後の見守りから、葬儀や家財処分まできめ細かく対応する枠組みを示すことで、転居先探しを支援する取り組みもある。

 福岡市の賃貸アパートで、独り暮らしをする女性(83)のもとには、毎朝9時50分になると、安否確認の電話が掛かってくる。「体調はいかがですか?」。オペレーターの問いかけに、女性は「快調ですよ。今日はプールに泳ぎに行くんです」と元気に応じた。

 安否確認は、福岡市社会福祉協議会が中心になって運営する「住まいサポートふくおか」が用意したサービスの一つ。転居が必要になった65歳以上の住まい探し支援のため、2014年10月に始まった。安否確認は福岡市の委託を受けた民間会社が無料で行う。ほかのサービスには、葬儀、入居者が亡くなった後の清掃・原状回復、納骨などの有料のものもある。

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女性宅には毎朝、安否確認の電話が掛かってくる。女性は、「年が年だけに、いつ何が起きるか分かりませんが、見守りがあると安心です」と話す(福岡市で)

 女性は16年4月、経済的な事情で現在のアパートに転居した。家賃は月3万円。それまで住んでいたマンションの家賃は月7万円で、「月13万円の年金生活では負担が重かった」。それでも、貯金を取り崩しながら暮らしていたが、ついに、借金までするようになり、転居を決意した。しかし、「不動産会社には、年齢を理由に相手にしてもらえなかった」。

 せっぱ詰まった女性は福岡市に相談。市から連絡を受けた福岡市社協が支援に乗り出した。担当者は面談を通じ、女性には子供がなく、親戚とも疎遠であることを把握。独り暮らしの高齢者でも新居を見つけやすくするため、用意したサービスのうち、安否確認と緊急通報機器の利用を提案した。

 その上で担当者は、女性の置かれた状況と社協による支援態勢を不動産会社に説明。不動産会社は、「見守りがあるので安心できる」と、大家を説得した。家探しから3か月後、女性は希望通り、住んでいた地域で部屋を見つけ、家賃も従来の半分以下に抑えることができた。

 社協の取り組みに、協力を申し出ている不動産会社は福岡市内に計41店舗(7月6日現在)ある。ガンツ不動産もその一つで、17年11月以降、立ち退きなどの理由で転居を迫られた3人に対し、物件探しから入居まで支援した。

 同社の森田光俊社長は、高齢者の入居をリスクと捉える大家が多いとする一方、「今後も増える高齢者に転居先を紹介する事業はビジネスとして成り立つ」と協力の狙いを話す。「見守りや死後の家財処分などの支援があるため、大家の理解も得やすい」という。

 支援を始めて間もなく4年。この枠組みを利用して、80歳代を中心に約180人が転居することができた。福岡市社協の担当者、栗田将行さんは、「家族や親族の関係が希薄になる中、転居に困る高齢者は今後も増えるだろう」とした上で、「地域にあるサービスを組み合わせ、その役割を代替していくことが必要だ」と話す。

高齢者向け賃貸専門会社登場

 高齢者向けの賃貸物件を専門にする会社もある。都内を中心に約400室を扱う「R65不動産」(東京都杉並区)だ。

 同社の特徴は、入居希望者への詳細な聞き取り。その内容は、希望する部屋の間取りや家賃はもちろん、年金収入や貯蓄、健康状態、通院先まで及ぶ。社長の山本遼さん(28)は、「そんなことまで聞かれるの?と言われることもありますが、大家さんの不安を軽減して、入居の理解を得るには大切なこと」と話す。

 ほかにも、独り暮らしの入居者に介護が必要になった場合、地域にどんな窓口があるかや、見守り用の機器の利用などについても大家に丁寧にアドバイスする。「学生などに比べて、長く住んでくれる、入居マナーも良いなど、高齢の入居者ならではのメリットもある」と山本さん。2015年の事業開始以降、相談件数は増えており、昨年は約100人が、同社の仲介で転居したという。(この連載は、社会保障部・板垣茂良が担当しました)

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