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在宅訪問管理栄養士しおじゅんのゆるっと楽しむ健康食生活

コラム

食欲はコントロールできるのか ―食欲亢進編―

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 先日の西日本豪雨で被災された方には、心からお見舞い申し上げます。少し前には大阪北部地震でも大きな被害があり、その混乱の中、豪雨の被害に遭われた方もいらっしゃることでしょう。避難所での過酷な状況をニュースで見聞きするたび、「一刻も早く日常が取り戻せますように」と祈っています。

 また、せめてもの足しにと義援金を寄付させていただきました。我が家も7年前、全国の皆さんが寄付してくださった東日本大震災の義援金を受け取りました。見知らぬどなたかが生活費や貯金を削って寄付してくださったのだと思うと、うれしさと同時に「立ち上がらなければ」という気持ちが湧いてきたものです。

 先日、東日本大震災の津波で被災し、生活環境ががらりと変わったことがきっかけで、健康状態が悪化してしまった男性の話を聞きました。震災から7年、沿岸部は整備されて復興住宅への転居も進みましたが、地域のコミュニティーを失った代償は大きく、被災した方をみんなで見守り、時間をかけて支えていくことの大切さを痛感しました。

食欲を抑えるホルモン「レプチン」の謎

食欲はコントロールできるのか ―食欲亢進編―

7月1、2日に憧れの小岩井農場(岩手県)に行きました。東北でも30度以上の真夏日でした。連日、猛暑続きですので、熱中症にご注意くださいね

 さて、前回は「食欲不振」がテーマでしたが、今回は多くの「メタボ」な方の関心事である「食欲 亢進(こうしん) 」についてです。「太っているのにいくらでも食べてしまう」「健康診断で生活習慣病と診断されているのに食欲が止まらない」「食欲をコントロールしたい」と考えている方は少なくないはずです。

 食欲が湧く仕組みについては前回も簡単に説明しました。「体に栄養が足りないよ」という信号を脳で受け取って、次に「おなかがすいたなあ。何か食べよう」と行動に移すわけです。このメカニズムは「血糖値の下降」のほか、「レプチン」や「グレリン」などのホルモンが脳に合図を送ることで働くわけです。

 レプチンには、脂肪細胞から分泌され、「体に脂肪がたくさんあるよ」ということを脳に知らせる働きがあります。つまり、レプチンがたくさん分泌されると、脳は「これ以上食べなくていいのだな」と感じるわけです。ところが、体脂肪率が高い方ほど普段のレプチンの血中濃度が高いことが分かっています。このため、体は「脂肪の量は十分だよ」と信号を送っているのに、それが脳に伝わりにくいようなのです。しかし、なぜレプチンによる信号伝達がうまく作用しないのかはまだ解明されていないのです。もしその原理が解明されたら、食欲をコントロールすることが可能になるかもしれません。

おなかが空いて眠れないのは脳が「覚醒」するから

 ダイエット中、夜中におなかが空いて目が覚めてしまった経験はないですか。

 一度起きてしまうと、何か食べるまで目がらんらんとして眠れない……、これも「空腹」を感じた脳が引き起こす状態です。「食べること」は生きていく上で必須の行動です。栄養が足りないことを脳が感じたら、「コラ起きろ!寝ている場合ではない!餌を取りにいくのだ!」という指令が発動されます。体に栄養が足りていないのに、目が覚めていなかったら、獲物を捕らえることはできません。

 この状態になると、食べずにいられなくなります。つまり、食事を抜いてダイエットをすると、脳はよけいに「食欲」を感じさせて、食べるための行動を起こさせるのです。ダイエット法をアドバイスする際、私は「なるべく間食をせず、規則正しく3食きちんと食べて、日中にしっかり動く」とごくごく当たり前のことしかアドバイスしませんが、それは脳のメカニズムの理にかなっていると思います。 

 もう一つのグレリン。食事と食事の間があいてしまうと、胃から分泌されるホルモンの「グレリン」が作用して食欲を感じさせます。昼食と夕食の時間があいてしまう場合は、「胃に何か軽いもの入れておく」ことをお勧めしています。エネルギー量の低い「こんにゃくゼリー」などをゆっくりとよく () んで食べることで、空腹感が少し和らぎます。これは、妊娠後期に私自身が実践した方法でした。体重のコントロールが必要だったため、出産前の2か月間は間食の「こんにゃくゼリー」や「ところてん」でしのぎました。その反動で、出産数時間後には、生クリームとチョコレートたっぷりのドーナツを一気に2個も食べてしまいましたが……。産院のベッドの上でドーナツをむさぼり食べる私の姿を見た夫が若干引いていたので、「出産は激しい運動に匹敵するからね!」などと言い訳をしていました。

 以前の病院で仕事をしていた頃、上司が「食べる意欲は生きる意欲なのよ」と話していたのを思い出します。「食欲」は人間が生きるために備わった本能ですから、むやみに薬などを使って「食欲をなくす」ことは、生きる意欲さえ失ってしまうことにつながりかねません。食事の取り方を工夫して、自分の食欲を自然にコントロールできる (すべ) を身に付けたいものです。(在宅訪問管理栄養士 塩野崎淳子)

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塩野崎顔2_100

塩野崎淳子(しおのざき・じゅんこ)

 「訪問栄養サポートセンター仙台(むらた日帰り外科手術WOCクリニック内)」在宅訪問管理栄養士

 1978年、大阪府生まれ。2001年、女子栄養大学栄養学部卒。栄養士・管理栄養士・介護支援専門員。長期療養型病院勤務を経て、2010年、訪問看護ステーションの介護支援専門員(ケアマネジャー)として在宅療養者の支援を行う。現在は在宅訪問管理栄養士として活動。

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1件 のコメント

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空腹の方が

ねこ

わたしゃ、少し腹が減った方がよく眠れます。満腹だと目がさえるし、夜中に起きて空腹を感じると、そのまままた眠れるよ。変人かね?

わたしゃ、少し腹が減った方がよく眠れます。満腹だと目がさえるし、夜中に起きて空腹を感じると、そのまままた眠れるよ。変人かね?

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