ひざや股関節の痛み
右膝に「ベーカー嚢腫」
右膝が変形性膝関節症でしたが、さらに「ベーカー 嚢腫 」だとわかりました。長く歩くと右足が突っ張ります。正座できず、階段の上り下りは痛いです。手術を勧められていますが、怖いのでしたくありません。手術以外の治療法はないですか。(72歳女性)
たまった液体 注射で抜く
井尻慎一郎 井尻整形外科院長(神戸市)
膝の裏に、黄色く粘った液体がたまる病気です。膝を深く曲げたり、正座したりすると違和感があります。液体がたまった袋(嚢腫)は、ピンポン球大に膨らむこともあります。
主な原因は二つです。滑液と呼ばれる液体が入った「滑液包」というクッションの役割を果たす器官で炎症が起きて液体が過剰にたまる場合と、変形性膝関節症や関節リウマチなどでできた液体が後ろに押し出されて袋を作る場合です。
放置しても問題はないのですが、膝の曲げ伸ばしの邪魔になったり、神経や血管が圧迫されて膝から下にしびれや浮腫が起きたりしたら、注射で液体を抜きます。1度抜いても、またたまることがあります。数か月に1度の目安で注射を続けます。
袋自体の摘出手術は慎重に考えましょう。膝の裏には大事な神経や血管があって、完全に摘出することが難しく、摘出できても再発の可能性はあります。
変形性膝関節症や関節リウマチがある場合は、先にその治療をし、その上でヒアルロン酸や、ほんの数回、長時間作用性ステロイドを投与します。この治療で治まることもあります。主治医と相談してください。
階段の上り下りで足が痛むのは変形性膝関節症の症状と思われます。膝に問題のある人に正座は禁物です。