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コラム

[落語家 立川らく朝さん](下)認知症予防には明るく楽しんで人生を生きるのが一番! 回想法も有効です

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医者と落語家と二つの人生を生きる

[落語家 立川らく朝さん](下)認知症予防には明るく楽しんで人生を生きるのが一番! 回想法も有効です

――お医者さんは今はもう……

 今はやっていないです。落語をしながら、医者の仕事はできませんから。医者って毎日やっていないと患者さんに迷惑かけちゃうので、辞めました。徐々にですから、何月何日にやめたというわけじゃないんですが、二ツ目のころには完全に移行していましたね。

――46歳で飛び込んだ落語の世界ですが、落語で食べていけるとは、最初の頃は想像もできなかったのではないですか。

 そうそう。だからとてもありがたいことです。まだ医者をやっていた頃、ずっと落語家になりたかったんですね。病院に行く出勤途中にかばんを持っているんですが、その時に、「ああ、これが着物を持って落語に行く、それが自分の日常の仕事だ、そんな日々だったらどんなに楽しいだろうな」と思いながら歩いていました。気がついたら、それを今やっているんですよね、自分が。幸せだなと思いますよ。

――人生100年時代と言いますが、らく朝師匠は、医師としてもやってきて、 噺家(はなしか) としてもやってきて、という二毛作の人生です。そういう生き方に憧れる人も多いのでは?

 うーん、どうなんでしょうねえ。人にもよると思うんですよ。一つのことをじっくりコツコツ一生やり続けるほうが向いている人もいると思うんですね。私は性格的にそれはできない。多分そういうことはイライラしちゃってできないんだろうなと。私のような性格だと、こういう感じの人生もいいかもしれないけれども、人によるでしょうね。

 「その年齢になって、よく転向しましたね」って言われるんですが、46歳でしょう、入門したのが。私は人生って20歳からだと思っているんです。20歳まで学生さんですから、はっきり言って人生って呼べるほどのものじゃないですよね。働いている人はもちろんいますけれども、大概の人は20歳というと学生さんでしょう。卒業して社会人になって、初めて自分の人生が始まるわけじゃないですか。

 大体20歳代を出発として、今は70歳代で現役の人はいっぱいいますよ。80歳になると、さすがにちょっといろいろな人が出てきちゃうから、とりあえず20歳代から70歳代までをその人の人生のスパンだと考えると、半分って50歳なんですよね。20歳代、30歳代、40歳代が前半、50歳代、60歳代、70歳代が後半。そうすると50歳が折り返し地点なんですよ。

 私、46歳で落語家になったので、ちょうど半分ですよね。50歳で二ツ目ですからね。落語家として一人前になった年齢が、ちょうど折り返し地点だった。だから前半が医者、後半が落語家みたいな感じなんです。だから「その年齢になって」とよく言われるけれども、折り返し地点の前で転向しているんですよ。そんなに言われるほどかなと思いますよ。

 もっとも70歳代も現役というのを前提とした話なので、70歳代に現役でいないと、この考え方は成り立たないんですけれども。

「どう生きるか」を突きつける認知症

――元医師の目から見て、認知症の問題というのはどのように捉えていますか。

 人間が長生きになった、ある意味宿命でしょうね。昔は認知症はあまりなかったんですよ。なぜなかったか。最大の理由は早く死んじゃったからです。人生50年でしたから。認知症の最大のリスクは加齢。寿命が延びてきちゃった人類の宿命ですよ。

 認知症になるという現実が、認知症になっていない人に突きつけている問題もあると思うんです。「どう生きるか」という一つのテーマを、認知症が突きつけているという、そんな意味合いもあるんじゃないか。

 認知症になる人って、ある程度のリスクというのか、傾向というのがあるんです。全てじゃないですよ、それが全てじゃないんですけれども、楽しまない人、楽観的でない人、怒りっぽい人、気にかける人、そういう人って割になりやすい。反対に、運動をよくする、動脈硬化を予防するようなライフスタイルというのは、アルツハイマーの予防につながると言われているんです。

 そういうことが認知症の予防になるということは、つまり「体に気をつけてポジティブに明るく楽しんで生きなさいよ」というメッセージを、認知症がわれわれに投げかけているんじゃないか。一つの見方ですよ、これは。でも、そんな見方をすることもできると思いますね。

 だから私が認知症の「健康落語」をやるときは、楽しもうよ、みんなでわいわいやろうよ、それが何よりの予防だよ、趣味を持とうよみたいな、そういうメッセージが多いですね。

――認知症の進行を遅らせるなどの効果があると言われているのが、昔のことを思い出して脳を活性化させる「回想法」ですけれども、どうお考えですか。

 これはデータ的にも出ていますよね。認知症の人って、ごく最近のことを忘れちゃう。でも昔のことはよく覚えているんです。若い頃の自分が生き生きと生きていた時代の記憶。そういう記憶って頭の中に残っているんですよ。

 そういう時代の記憶を呼び覚ますと、やはり脳の血流が増えたり、電気的な活動が増えたりする。昔の自分がまだ活動的だった頃を思い出すことで、脳が活性化するというのはいいんじゃないですかね。

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