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長い老後 豊かに過ごす…定年男性 地域に居場所

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趣味生かす 互いに学び交流

 人生100年時代と言われる中、長い老後をいかに豊かに過ごすかは重要なテーマだ。特に、仕事一筋で生きてきた男性にとって定年後の居場所作りは切実。3人の実例をもとに、手がかりを探ると、「趣味」、「男性同士」、「早めに準備」がヒントになりそうだ。

長い老後 豊かに過ごす…定年男性 地域に居場所…

くつろぎカフェで、コーヒーをいれる準備をする菅野さん(横浜市今宿地域ケアプラザで)

  ■好きなことで充実

 横浜市旭区にある地域の交流拠点「横浜市今宿地域ケアプラザ」で、毎月第2水曜日の午後、レコードを聴きながら本格的なコーヒーが飲める「くつろぎカフェ・音楽喫茶」が開かれる。

 会場の奥のキッチンで、サイホン式コーヒーをいれるのは、ボランティア団体「ペリゴール」代表の菅野弘道さん(76)だ。菅野さんは大手ゼネコンとその子会社を経て70歳で定年退職。コーヒーが大好きで、「おいしくいれる技術を学びたい」と5年前、同プラザで開かれた3日間のコーヒー講座に参加した。

 終了後、講座を主催した同プラザの勧めもあり、「地域に貢献しよう」と受講生計13人でペリゴールを結成した。現在のメンバーは60~80歳代の24人で、うち8人は男性だ。講座で指導してくれた喫茶店マスターの協力で技術を高め、市の補助金で道具一式もそろえた。活動が評判を呼び、昨年は地域のイベントなど、60回以上、活動した。「趣味なのでいつの間にかのめり込めた。『おいしい』と言ってもらえるのが何よりうれしい」と、菅野さんは目を輝かせる。

  ■男性限定で成功

 新潟県上越市の元中学校教員、畠山利一さん(85)は7年前、70歳以上が中心の男性限定の交流会「サロン・メンズ会」を始めた。

 退職後、自治会の活動をしているうちに、家に閉じこもりがちな中高年男性が多いことに気づいた。地元の社会福祉協議会が毎週、交流サロンを開いているが、参加者は女性ばかり。「男性のためのサロンを作れば、参加しやすいだろう」と考えたのがきっかけだ。

 現在のメンバーは20人。元会社員や商店経営、農業など様々な経歴の人が集まる。「互いに学び合う」が基本方針。月1回集まり、体操やゲームで体を動かすほか、春は花見、秋は紅葉狩りにも出かける。「男性同士なので、気兼ねなく話せる」と話す。

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横浜市内で、イベントの企画を話し合う片岡さん(右から2人目)

  ■早めにデビュー

 40歳代から居場所作りをしてきた人もいる。

 横浜市の会社員、片岡博さん(50)は、IT(情報技術)関連の仕事の傍ら、ジャズ祭りや小学生の発明教室、地域の交流イベント企画など、様々なボランティア活動に奔走する。

 きっかけは、約10年前に順番で回ってきた町内会役員をしたこと。義務感で始めたが、祭りの手伝いなどで男性同士が集まる機会が増え、地域に知人が増えた。「人と知り合う楽しさ」に目覚め、以来、興味のあるテーマの勉強会や活動を探し、参加してきた。

 以前は毎日、夜遅くまで会社で働き、時には土日も出勤する会社人間だった。地域活動がきっかけで3年前に転職し、今は、ほぼ定時で仕事を終え、休日は息子をサッカーの試合に送迎したり、趣味の活動をしたりする。「人として幅が広がった。今の生き方を続けていけば、いくつになっても充実して過ごせる」と話している。

女性に比べ つながり希薄…50代からの準備が理想

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 内閣府の高齢社会白書(2014年版)によると、60歳以上で「親しい近所づきあいはしていない」と答えた男性は54%。独り暮らしに限れば64%に上り、独り暮らしの女性(39%)と比べ、つながりの希薄さが浮かび上がる。

 定年後を見据えて男性はどのような心構えが必要なのか。ベストセラー「定年後」(中公新書)の著者で、作家の楠木 あらた さん=写真=は「男性は自分が先に逝くものと思っているが、必ずそうなるものでもない。認知症の妻を介護する人は『地域の支えがあって助かった』と話していた。地域のつながりは重要だ」と指摘する。

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 居場所探しについて、楠木さんは「地域デビューは難しいのが基本と心得て、地域を知っている奥さんについていく手もある。社会福祉協議会などが提供する活動も、農園や高齢者の送迎ボランティアなど色々あり、自分に合ったものを探せばよい。男性は、畑仕事など共同作業を通して人とのつながりを確保すると、うまくいきやすい」と指南する。

 活躍の場は地域以外にもある。楠木さんは「子どもの頃から関心を持っていることに改めて挑戦するのもいいし、学校などで学び直しをする方法もある。いつから始めても遅くはないが、50歳代から準備をするのが理想的だ」と話す。

 (樋口郁子)

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