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五味院長の「スッキリ!体臭で悩まなくなる話」

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頭を冷やす、硬い敷布団、寝る前の水…ニオイを抑える睡眠法とは?

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入浴後のエアコンに注意! すぐに寝付けず…

 臭い寝汗を避けるには、睡眠に入るのに必要な汗の量以上の寝汗をかかないようにすることです。まずは脳温が高いままで寝ないこと。前回説明した通り、入浴後すぐにエアコンの冷気に当たると皮膚温が急激に下がって発汗が止まり、脳温を平熱に戻せません。そのまま寝てもすぐには寝付けず、強引に寝ようとすると、通常の生理的発汗にプラスして、大量の汗を急激にかく必要が出てきます。つまり臭い汗となります。

 入浴自体は、お湯で高めになった体温が下がっていくことで、スムーズに眠りに入るきっかけとなります。が、そのためには寝る1時間以上前に入浴すること、汗を自然乾燥させることで脳温を平熱近くまで下げてから寝ることが大切です。

 入眠時にエアコンで軽く頭部を冷やすことは、眠りに入りやすくするための手段として有効です。ただ、寝ている間中つけっぱなしにすると、体が冷え、汗腺機能の低下や夏バテの原因となるので注意しましょう。

暑さに弱い体質なら睡眠時もエアコンを

 しかし、能動汗腺が少なく暑さに弱い体質の人は、熱帯夜の睡眠時熱中症の予防のためにも、睡眠中、エアコンを使用することが必要です。エアコンに加え、扇風機を体に直接当てないよう下に向けて使うと、空気が対流して汗が蒸発しやすくなり、その分、エアコンの設定温度を高めにできます。

 夏の暑い日には、寝具の工夫も大切。夏の寝具は「敷き布団は硬め。掛け布団は軟らかめ」が基本です。

 硬めの敷き布団がいいのは皮膚を圧迫しやすいから。汗は圧迫されている部分で減少し、反対側の汗が増加する「半側発汗」という性質があります。例えば、仰向けに寝ている時に布団と接している背中側に汗をかいても、蒸発しないので体温を調節できません。ですから、背中の汗は減少させ、逆に蒸発しやすい胸側により多くの汗をかくのが体温調節には都合がよいのです。

 掛け布団のほうは、出た汗がすばやく蒸発しやすいよう、軽めのタオルケットやガーゼケットがお薦めです。

寝る前の水が寝起きの口臭を防ぐ

 また、夜中にトイレに起きるのを避けるため、寝る前に水分を摂取しない人がいますが、脱水による睡眠時熱中症の危険が高まるほか、寝起きの口臭の原因にもなります。

 ただし、寝る直前にたくさんの水を飲むと、尿を抑えて体液を保持する「抗利尿ホルモン」の分泌が止まり排尿を促します。それを避けるには、寝る1時間くらい前から少しずつ少量に分けて飲むこと。夜間にトイレに起きず、ぐっすりと眠ることができますよ。(五味常明 五味クリニック院長)

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五味常明(ごみ・つねあき)

1949年、長野県生まれ。一橋大学商学部、昭和大学医学部卒。昭和大で形成外科、多摩病院で精神科に携わった後、体臭・多汗研究所を設立。現在は、 五味クリニック 院長として、東京と大阪で診療する傍ら、流通経済大スポーツ健康科学部の客員教授も務めている。

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