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夜まで預かる幼稚園…保育所併設、0歳から利用も

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 午後6時前、帰り支度をすませた園児たちが、幼稚園のバスに次々と乗り込む。

 6月下旬、東京都江戸川区の私立江戸川幼稚園。満3歳から年長までの園児約330人のほぼ半数が、通常の活動が終わった後も、「預かり保育」によって園内で過ごす。

 同園は、通常の活動時間は午前9時から午後2時ごろまでだが、最も長い場合、午前7時から午後8時まで利用することができる。

 預かり保育中は、英語や音楽、運動遊びなどの活動、昼寝、おやつの時間もある。希望する家庭には、預かり保育の後、子どもを園のバスで自宅近くまで送り届ける。夏休み期間などにも子どもを預かり、バスで送迎する。

 園長の石井里英さんは「以前は、幼稚園の利用者は専業主婦の家庭が中心だったが、今は共働き家庭も多い。預かり保育を充実させ、魅力を高めたい」と語る。

午後6時以降も

 文部科学省の調査によると、預かり保育を行う幼稚園は、2006年度に71%だったのが、16年度には85%に増えた。私立は97%にのぼる。預かり保育の終了時間は、午後5~6時が43%と最多で、午後6時以降も25%あった。

 幼稚園の通常の活動時間では、共働き家庭は「迎えに間に合わない」などの理由で、子どもの預け先になりにくい。長時間保育の需要が高まり、定員を確保しようと預かり保育を行う幼稚園も多い。

 さらに待機児童問題を抱える自治体などでは、預かり保育や長期休暇中の保育を行う幼稚園に補助金を出すなどして、働く親の子どもの受け入れを促している。

 その結果、「広い園庭やホールで遊ばせたい」「特色のある教育プログラムを受けさせたい」など、幼稚園の環境や取り組みに魅力を感じて、預かり保育料を払ってでも、入園を希望する共働き家庭も多い。

入園後も担任同じ

 一般的に幼稚園の利用は3~5歳児が対象だが、0歳から継続して利用できる仕組みを取り入れる園も出てきた。

 横浜市保土ヶ谷区の私立 初音丘はつねがおか 幼稚園は、0~2歳児が通う認可保育所「ピッコリーノ」を併設している。2歳児の定員は19人で、毎年ほぼ全員が3歳から同幼稚園に入園する。

 預かり保育の実施のほか、2歳児クラスの担任が、翌年は幼稚園の3歳児クラスを受け持つなど、子どもがスムーズに進級できるよう工夫している。理事長の渡辺真一さんは、「保護者の就労で、園児の約3分の1が預かり保育を利用している。地域の子どものためにどんな取り組みができるかを、幼稚園は真剣に考えるべきだ」と語る。

夜まで預かる幼稚園…保育所併設、0歳から利用も

 公立幼稚園に認可外保育施設を併設する動きもある。東京都千代田区は、区立幼稚園2か所の空き教室を活用し、0~2歳児の認可外保育施設を設置している。卒園後は全員、その幼稚園に入園できる。

 幼稚園では、昼間は短時間保育の子も長時間保育の子も同じ教室で過ごす。親の就労などで長時間保育が必要と区が判断した場合、午後7時半までの延長保育を利用できる(図)。土曜の保育もある。

 子ども家庭福祉サービスに詳しい淑徳大教授の柏女霊峰さんは、「自治体は、0歳から就学まで、切れ目なく子どもを見守れる体制にしなければならない。預かり保育の具体的な内容は園ごとに異なるため、自治体は相談に乗る専任職員を置くなどして、各家庭に合った選択肢を示すのが望ましい」と話している。

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