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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

医療・健康・介護のコラム

「オレは認知症なのか?」偶然知った病名に衝撃

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漫画・日野あかね

読んでも忘れる…不安で新聞が手放せない

 元気だったころから父さんは「これも仕事だ!」と、情報収集のために毎朝、新聞をじっくり読む習慣がありました。ですが、脳血管性認知症との診断を受けた後の生活で、その「新聞をじっくり読む」行為があまりに過ぎていた時期があったのです。

 朝刊は、届いてから夕刊が来るまで、夕刊は、来てから寝るまで、時間があれば読んでいる……というより、ペラペラとめくり続けているのです。

 自分の身支度などもそっちのけで新聞を読み続けています。その行為にイラッとした私は、「なんでそんなに新聞ばかり読んでいるの?」と、父さんに聞いてみました。すると「読んだはずのところを忘れてしまう。それが不安だから読み続けているんだ」という答えが返ってきました。

初めて聞いた父さんの心の声

 私は、父さんには自分が「認知症」だという認識はないと思っていたので、この返答にすごく驚かされました。でも父さんは父さんなりに、自分でも違和感を抱き、それを打ち消すために新聞を読み続けていたのです。こちらがイラッとする謎の行動にもちゃんと意味がありました。そして、自分の気持ちをあまり言うことのない父さんの、認知症になってからの心の声を初めて聞いたように思ったのです。

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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