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五味院長の「スッキリ!体臭で悩まなくなる話」

医療・健康・介護のコラム

臭う汗と臭わない汗(2)夏は室内外の温度差でクサくなる 爽やかな汗をかく生活法とは?

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汗をかきにくい人はサイクリングを

 前回のコラム では、「なぜ汗が臭うのか」を説明しました。「そもそも、ニオイのもとになる汗をかかなければよい」と考える人はもういないでしょう。汗は、かき慣れることが「臭わない良い汗」をかく秘訣(ひけつ)なのです。今回は、臭わない汗をかくための生活法をお話ししましょう。

 まず大切なことは体の芯を温めて代謝熱をつくり、その熱で汗をかくことです。

 外気温で皮膚が急激に温められた時は、脳の体温調節中枢が「緊急に体温を下げろ」と発汗指令を出し、一気にドッと出る「臭う汗」をかきやすくなります。一方、体の芯が温まり深部温が高くなった時には、ゆっくりじっくりと汗が出るため「臭わない良い汗」をかきます。体の芯を温めるには、一日20分くらいのウォーキングや軽めのジョギングなどの有酸素運動が有効です。

 能動汗腺が少なく、汗をかきにくい体質の人は、サイクリングがお勧め。風を受けながら汗をかくと、空気の対流で汗が蒸発しやすく、体温調節をスムーズに行うことができます。

 運動時の代謝熱は主に筋肉でつくられるので、週に2回ほど、軽めの筋トレを併用するとよいでしょう。筋トレをすると、筋肉が鍛えられるだけでなく、成長ホルモンなどが分泌され、有酸素系のエネルギー代謝を盛んにします。筋トレ時に大切なのは、十分酸素を吸いながら行うことです。酸素を摂取しない時間が長くなると、乳酸が発生してミドル脂臭のもとになる「ジアセチル」が作られやすくなります。

エアコンの設定は26度を目標に

 良い汗をかくためには、エアコンの使い方も大切です。最近では、室温を23度から24度に設定する人がいますが、冷え過ぎです。23度では汗は出ません。まずは24度に上げてください。

 しっとりと汗がにじむようになったら、もう1度上げて25度に設定します。その時、窓を15センチくらい開けて換気し、部屋の空気を循環対流させます。皮膚に接する空気が循環すると汗の蒸発が促進され、体温が下がり涼しく感じます。

 25度に上げても「頭がボーッとする」「ふらっとする」などの症状が起きない人は、さらに1度あげて26度にし、部屋の換気と同時に扇風機を併用します。最終的には27度が理想ですが、23度から24度の室温に慣れた能動汗腺の少ない人は、27度では室内熱中症の危険がありますので、まず26度を目標としてください。

 ポイントは、室内の空気を対流させ汗を蒸発させること。つまり、自分に備わった「天然のエアコン」を有効利用することです。長年かけて能動汗腺が減少してきたのですから、あせらずにじっくり「休眠汗腺」を目覚ませてください。

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五味常明(ごみ・つねあき)

1949年、長野県生まれ。一橋大学商学部、昭和大学医学部卒。昭和大で形成外科、多摩病院で精神科に携わった後、体臭・多汗研究所を設立。現在は、 五味クリニック 院長として、東京と大阪で診療する傍ら、流通経済大スポーツ健康科学部の客員教授も務めている。

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