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五味院長の「スッキリ!体臭で悩まなくなる話」

医療・健康・介護のコラム

臭う汗と臭わない汗(1)運動不足、エアコン、緊張…生活習慣があなたの汗をクサくする

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汗は血液から作られている

 体温は、汗が蒸発するときに気化熱を放出することで下がります。汗が蒸発するには、水分が必要です。その水分の供給源として、皮膚血管の中を流れる血液が使われます。つまり、汗のひとしずくは、貴重な血の一滴と言えます。

 汗腺は、血液から血球成分を除いた血しょうをくみ取ります。血しょうの中にはナトリウム、カリウムなどのミネラルやニオイのもとになる物質も含まれていますから、それらをろ過して血液に戻し(再吸収)、残りを汗として外に出します。(図)

理想の汗は混じりけのない水

 理想的な汗は、完全に再吸収ができた後の100%純粋な水です。仮に体重70kgの人が純粋な水分のみの汗をかいたとしたら、38度に上がった体温を37度の平熱に戻すのに、たった100ccの汗があれば十分。この場合、水は表面張力が働いて小粒になり、すばやく気化して体温を下げるからです。実際には100%とまではいきませんが、理想の「良い汗」は血しょう成分が薄く、限りなく水に近いサラサラした汗です。こうした良い汗はニオイ成分も少ないため、かきたてはほぼ無臭です。

運動不足、エアコンで汗腺が衰えると臭う汗に

 ところが、現代人はライフスタイルの変化によって、良い汗がかけなくなっています。筋肉を使わなければ筋力が衰えるのと同じです。交通機関の発達で運動不足になり、エアコンの普及で汗をかく機会が減少した結果、汗腺のろ過機能(再吸収)が衰えた人、汗をかかない「休眠汗腺」ばかり増えて汗を出す「能動汗腺」が減少した人が多くなっています。再吸収が十分にできないと血しょう成分が多い、濃い汗になります。

 濃い汗は大粒でベトベトして、なかなか蒸発しません。流れるだけのムダ汗、つまり「悪い汗」なのです。悪い汗には、アンモニアや乳酸などのニオイ成分や雑菌のエサとなる皮脂なども多く含まれ、「臭い汗」となります。

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五味常明(ごみ・つねあき)

1949年、長野県生まれ。一橋大学商学部、昭和大学医学部卒。昭和大で形成外科、多摩病院で精神科に携わった後、体臭・多汗研究所を設立。現在は、 五味クリニック 院長として、東京と大阪で診療する傍ら、流通経済大スポーツ健康科学部の客員教授も務めている。

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