大人の健康を考える「大人び」
コラム
お肌の悩み(7) 女性ホルモンとの関係
このシリーズでは、近畿大学病院の皮膚科専門医、山本晴代さんに聞きます。(聞き手・佐々木栄)
最近は、男性向けの洗顔料や化粧水なども増えてきました。とはいえ、スキンケア用品の大半は女性向け。それは単におしゃれ意欲が高いからではありません。女性特有のバイオリズムがあり、必要に迫られているのです。
女性には月経があり、主に卵巣からエストロゲンとプロゲステロンというホルモンが周期的に分泌されます。分泌のピークは交互に訪れます。
エストロゲンは、女性にとって特別なホルモン。ヒアルロン酸やコラーゲンの生成を促し、肌をみずみずしく保ってくれます。女性の平均寿命が長いのはエストロゲンのおかげとも言われます。
プロゲステロンは皮脂の分泌やメラニン合成を促します。月経開始の約1週間前の黄体期は紫外線に肌が反応してしみができやすく、エストロゲンの分泌量も減るため肌の状態を保ちにくくなります。エストロゲンの分泌は20代後半をピークに減少します。40代でガクッと肌の衰えを感じるのはヒアルロン酸やコラーゲンが減って乾燥しやすくなり、肌の厚みや張りも失われるためです。
閉経に向かう50歳前後にエストロゲンを補うホルモン補充療法(保険適用)を始める人もいます。更年期症状を和らげるだけでなく、皮膚のコラーゲンやヒアルロン酸の量が増えることも研究でわかっています。「幸せのホルモン」とも呼ばれるエストロゲン。その分泌状態を日頃から意識し、スキンケアに役立てていきましょう。
【略歴】
山本 晴代(やまもと・はるよ)
2004年、近畿大学医学部卒。PL病院皮膚科医長、近畿大学医学部皮膚科医学部講師を経て、現在は近畿大病院皮膚科で「女性外来」を担当。専門は光老化。分担執筆に「美容皮膚科ガイドブック」(川田暁編著、中外医学社)がある。