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いちばん未来のシニアのきもち

コラム

「思い出」から生まれる私たちの明日

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 こんにちは、慶成会老年学研究所の宮本典子です。

 高齢者は、超高齢社会のいちばん先をいく人たちです。共に生きやすい社会をつくることは、次の世代の未来をつくることになると思いませんか?

 高齢者は、同じ思い出を繰り返し口にします。皆さんも、よく見聞きしているのではありませんか?

 「おじいちゃん、また戦争の話でしょう? もう何回も聞いた!」
 「おばあちゃん、食べ物がなかった頃の話なら、聞き飽きた!」

 同じ話を何度も聞かされる家族にすれば、面倒になってそう言ってしまう――。そんな気持ちは、わからなくもありません。

 しかし、記憶力が低下して同じ話を繰り返すことと、人生の大切なエピソードを繰り返し語ることでは、意味合いが違うのです。

年を重ねるごとに豊かになる思い出

 人は、年を重ねることで、健康、仕事、大切な家族など、様々なものを手放していかなければなりません。しかし、どれほどの喪失体験に遭っても、失わずにいられるのが「思い出」です。いえ、むしろ思い出は、年を重ねるほどに豊かに増えていくのです。

 生まれ育った故郷の美しい景色

 一緒にいたずらをし手遊んだ幼なじみ

 勉強をしたくても環境が許さなかった無念さ

 食べ物のない戦後に苦労した子育て

 高度成長期の日本を支えるべく懸命に働いた日々のこと

 アメリカの精神科医ロバート・バトラーは、高齢者が自らの人生を振り返って思い出を語ることは、人生の意味を模索する自然な心の働きであり、こうした高齢者の昔語りを聞いて受け止めることが高齢者の心理的安定や自尊心の向上、人生に対する満足度の向上などにつながると考えました。そして、1963年に高齢者を対象とする心理療法として「回想法」を提唱しました。

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宮本典子(みやもと のりこ)

 慶成会老年学研究所主任研究員。 臨床心理士。

 聖心女子大学文学部歴史社会学科人間関係(現人間関係学科)卒業。

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 主に認知症高齢者、高齢期のうつ病の心理療法及び介護家族の心のケアにかかわる。自宅で暮らす高齢者や認知症の人を対象に、情緒の安定や認知機能の低下予防をめざす心理療法プログラム「ユリの木会」を運営している。共著に「認知症と診断されたあなたへ」(医学書院)、編著に「いちばん未来のアイデアブック」(木楽舎)がある。

慶成会老年学研究所

 高齢社会に関する心理学的、医学的臨床、研究、及び教育・研修を行う研究所として、1988年に設立。現在、心理学の専門家によって、高齢者と家族を対象にしたカウンセリング、専門職や一般企業への教育・研修と、高齢者と高齢社会に関する学際的な研究を行っている。

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