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徘徊で賠償、自治体が備え…事故時に保険で支援

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徘徊で賠償、自治体が備え…事故時に保険で支援

自宅近くの小田急江ノ島線沿いを歩く認知症の女性(左)と長女(神奈川県大和市で)

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 認知症による行方不明者が増え続ける中、認知症の人が事故などを起こして家族らが損害賠償を求められる場合に備え、自治体で民間保険を活用した支援事業が広がっている。神奈川県大和市が昨年11月、愛知県 大府おおぶ 市と栃木県小山市も今月、事業を開始。福岡県久留米市も10月に始める方針だ。

 4月下旬の夕方、大和市で認知症の女性(83)が行方不明になった。隣家に住む長女(57)が夕食を届けるため訪れると、姿が見えなくなっていた。近くには、小田急江ノ島線の踏切もある。長女はすぐに警察に捜索願を出した。約2時間後、線路沿いをぼうっとした様子で歩いているところを、長女が見つけて保護した。長女は「行方不明になったのは6回目。踏切内に立ち入って事故に遭わないか心配だし、損害賠償責任を問われる不安もある」と話した。

 大和市の支援事業は、こうした損害賠償に備える狙いがある。市が民間保険会社と個人賠償責任保険の契約を結び、 徘徊はいかい の恐れがある認知症高齢者が加入する。1人年1万150円の保険料を市が負担。現在、269人が加入している。

 加入者が電車に接触し遅延損害が発生するなどし、家族らが賠償責任を負う場合に、最大3億円の補償が受けられる。市高齢福祉課の杉内 ただし 課長は「本人や家族の不安を少しでも軽減したい」と語る。

 認知症高齢者は全国に推計約525万人いる。2025年には730万人に増えるとみられる。認知症列車事故訴訟で、JR東海から損害賠償を求められた高井 隆一りゅういち さん(68)は「本人や家族が安心して毎日を過ごせるように、賠償に備えた安全網として、自治体の救済策が全国に広がってほしい」と話している。

          ◇

【認知症列車事故訴訟】  愛知県大府市で認知症の男性(当時91歳)が2007年12月、徘徊中にJR東海道線の駅構内で列車にはねられ死亡した事故で、JR東海が起こした裁判。振り替え輸送費など約720万円の賠償を家族に求めた。1審、2審は家族の賠償責任を認めたが、16年3月の最高裁判決では、家族は監督義務者にはあたらず、賠償責任は負わないと判断。家族側が逆転勝訴した。

 

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