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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

コラム

日本の視覚障害者は少なすぎる?…厳しい認定基準への疑問

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 前回、見えづらさを抱える中等度以上の視覚障害者が世界で2億人以上になるとの推計を紹介しました( 失明、見えづらさ…地球レベルで視覚障害を考える時代 )。世界の人口の2.6%程度に相当します。

 では、日本で視覚障害に認定されて身体障害者手帳を交付されている人は、どのくらいいるのでしょうか?

日本の眼科医療が優れているから…ではない

日本の視覚障害者は少なすぎる?…厳しい認定基準への疑問

 厚労省が5年ごとに行う「生活のしづらさなどに関する調査」(平成28年調査)での推計値は、31万2000人です。人口の0.2%に相当します。

 「世界の視覚障害者の割合(2.6%)と比べて、ずいぶんと少ない!」と思われませんか?

 なぜでしょうか?「日本の眼科医療が優れているため」と胸を張って言いたいところですが、そうではありません。

 日本の視覚障害の認定者「0.2%」という数値は、世界の失明者の割合「0.5%弱」に近い数値です。

 そうなのです。日本の基準では、ほぼ「失明」している人しか視覚障害者として認められないのです。

英米との比較

 日本の基準が厳しすぎるのかどうか。判断の目安として、医学レベルが同等と思われる国々の状況を調べてみました。

 米国では視覚障害者が人口の2.3%存在するとの推計が、国立の障害研究所(NIDRR)のリポートで示されていました。

 一方、英国では、国民保健サービス(NHS)が、視覚障害者の実数は200万人(人口の約3%)と推定されるのに、実際には36万人(同0.5%)しか認定されておらず登録されていない、と指摘しています。つまり、登録されていない人は公的な支援を受けていないということです。日本と似た状況なのかもしれません。

 日本の視覚障害者は、やはり少なすぎるのではないか。英米の数字をみて、そう受け止めるのは私だけではないでしょう。

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任し、15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人---心療眼科医が本音で伝える患者学」、「健康は眼に聞け」「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「目の異常、そのとき」(人間と歴史社)、医療小説「茅花流しの診療所」(同)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半には講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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