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Dr.三島の「眠ってトクする最新科学」

医療・健康・介護のコラム

深い眠りで健康に?――「短時間睡眠法」のウソ

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「短くても深く眠ればOK」は科学的に誤り

 そして、睡眠を考えるときに大事なポイントは、これらの作業が必要睡眠時間全体にわたって行われ、しかも時間帯によって作業内容が異なっていることです。睡眠前半に多い「深いノンレム睡眠」、睡眠後半の「浅いノンレム睡眠」、周期的に現れる「レム睡眠」のそれぞれが、異なった役割を担っています。どれか一つが欠けても十分な修復や準備が達成できないのです。

深い眠りで健康に?――「短時間睡眠法」のウソ

図:一晩の睡眠の経過図。睡眠は大きくレム睡眠とノンレム睡眠に分けられる。ノンレム睡眠はさらに4段階に分けられ、段階1と2は浅いノンレム睡眠、段階3と4は深いノンレム睡眠と呼ばれる。睡眠の各段階に特有な心身の回復と準備の役割がある。

 書店に並ぶ本の中には、睡眠時間が短くても「深い睡眠をしっかり取れば大丈夫」などと書いてあるものがありますが、科学的には全くの誤りです。その理由は簡単に説明できます。

 意外に感じるかもしれませんが、睡眠不足がひどくなればなるほど「深い睡眠」はむしろ、増加します。睡眠不足で削られるのは、大部分が浅い睡眠とレム睡眠です。深い睡眠が良い睡眠のバロメーターであるとすれば、睡眠不足の人はこれ以上ないほど「質の良い睡眠」を取っていることになります。でも、言うまでもなく体調は悪いし、病気のリスクも高まります。

 深い睡眠から浅い睡眠までがパッケージになっていて、はじめて良い睡眠と言えるのです。

翌日のハイパフォーマンスのために

 短時間睡眠でバリバリ活動する姿に憧れるビジネスマンや受験生の方は、ちょっとガックリしたと思いますが、翌日にハイパフォーマンスを発揮するための準備をしていると思えば、たっぷり睡眠をとることは決して無駄ではないと感じられるでしょう。実際、睡眠時間を十分に確保した方が、しっかりと物事を記憶できることも証明されています。この話もいずれご紹介する機会があると思います。

 車やオーディオ、スマホやパソコン、ゲーム機など、自分が大事にしている物はエンジンや電源を付けっぱなしにしませんよね。人間も同じです。勉強や仕事、趣味や人付き合いも大事な生活の営みですが、睡眠も同じように必要不可欠な時間です。オーバーヒートしないよう、今夜もゆっくりお休みください。(三島和夫 精神科医)

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三島和夫(みしま・かずお)

秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座 教授

 1987年、秋田大学医学部卒業。同大助教授、米国バージニア大学時間生物学研究センター研究員、スタンフォード大学睡眠研究センター客員准教授、国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。日本睡眠学会理事、日本時間生物学会理事。著書に『不眠症治療のパラダイムシフト』(編著、医薬ジャーナル社)、『やってはいけない眠り方』(青春新書プレイブックス)、『8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識』(共著、日経BP社)などがある。

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1件 のコメント

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なるほど

megatankobu

だれにでも共通に与えられる1日24時間。少しでも長く起きていたほうが得だなんて思っていたがとんでもない間違いだね。

だれにでも共通に与えられる1日24時間。少しでも長く起きていたほうが得だなんて思っていたがとんでもない間違いだね。

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