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認知症で列車事故、市が保険料…「家族への賠償請求」に備え

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 福岡県久留米市は、認知症の人が 徘徊はいかい 中に列車事故に遭い、家族が鉄道会社から損害賠償を求められた場合などに備え、市が保険料を全額負担して個人賠償責任保険に加入する事業を10月から始める。市は7日に開会した定例市議会に、関連予算を盛り込んだ議案を提案した。

 愛知県 大府おおぶ 市で2007年に起きた列車事故では、死亡した認知症の男性の家族がJR東海から賠償を求められた。最高裁で請求は棄却されたものの、久留米市は「高齢化社会が進み、家族が高額の賠償金を請求されるケースが考えられる」と導入を決めた。同様の事業は大府市や神奈川県大和市、栃木県小山市でも実施している。

 保険に加入できるのは、医師から日常生活に支障をきたす症状があるなどと診断された40歳以上の認知症の人ら。1人あたりの保険料を年1490円、賠償額は最高3億円と想定し、列車事故による遅延損害のほか、自転車運転中の接触事故による損害などを補償対象に見込んでいる。1000人分の保険料と事務経費を合わせた計約290万円を計上し、損害保険会社は一般競争入札で決める予定。

 市には認知症などで行方不明になる恐れがあるとして、顔写真などを登録している人が255人(今年1月末現在)おり、市長寿支援課は「認知症の人や家族が安心して暮らせるよう、社会全体で支えていきたい」としている。

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