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スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やす

コラム

市販の風邪薬でも違反の可能性が――求められるアンチ・ドーピングへの意識

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 どうも、大関です。日本ではこれからスポーツの世界的なイベントである、2019年ラグビーワールドカップ、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会、2021年ワールドマスターズゲームズ関西が開催されます。これらの大会の成功には、アンチ・ドーピングの側面からも、クリーンに競技が行われることが必須です。ドーピングはスポーツの価値を脅かすものであり、スポーツをフェアに行うという意味で、トップアスリートだけの問題ではありません。今回はアンチ・ドーピングについてお話しします。

 バドミントン選手のケースです。

 Kさんは社会人のチームでバドミントンをしており、1週間後に出場する予定の大会ではドーピング検査が行われます。しかし、ここ数日体調を崩し、微熱も出てきたため、薬を飲んで休むのがよいと考えました。薬局に行こうとクラブチームの寮から出たところで、チームメートと出会い、「市販の風邪薬を買いに行くところだ」と伝えました。

気管支ぜんそくのステロイド 吸入はOKだが、内服は違反

 ドーピング検査が行われる試合や大会では、試合後、ランダムに選ばれた選手が、専門家の立ち会いのもとで尿検査を受けます。採取した尿は二つの検体に分けます。万一、禁止されている物質の成分が検出された場合、もう一方の検体を調べ、再び陽性と出た場合はアンチ・ドーピング規則違反となります。規則違反になるかどうかに、故意だったかどうかは関係ありません。規則違反とされた場合、過去の成績が失効し、2年あるいは4年の資格停止となります。競技会へ出場できなくなるほか、所属チームの施設を使ったり、練習に参加したりすることもできなくなります。こうしたドーピング検査は、国際大会だけでなく、国体でも行われています。

 実は、Kさんが買いに行こうとしている風邪薬の中には、ドーピングの禁止物質であるメチルエフェドリンというせき止めの成分が入っているものがあります。

 大会に出場するアスリートが体調を崩した場合、安易に薬を内服するよりは、体調管理で自然に治すのが一番です。もし薬を内服するなら、禁止物質が含まれていないものを選ぶ必要があります。

 スポーツ選手でもよく見られる病気に気管支ぜんそくがあり、ステロイドによる治療が行われます。しかし、ドーピングに関していえば、ステロイドの吸入は大丈夫ですが、内服は規則違反になってしまいます。治療目的なら、他の治療法や代替薬がないことを条件に、大会の3か月前までに申請し承認を受けることで、その薬を使用できるTUE(治療使用特例)という制度があります。気管支を広げる薬の場合は、ドーピング違反にならない吸入薬が存在するので、代替治療があると判断されやすく、使用はほぼ認められません。

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Ozeki-7-pro

大関信武(おおぜき のぶたけ)

整形外科医・博士(医学)
一般社団法人日本スポーツ医学検定機構代表理事

1976年大阪府生まれ、兵庫県立川西緑台高校卒業。
2002年滋賀医科大学を卒業。2014年横浜市立大学大学院修了。横浜市立大学付属病院、横浜南共済病院、関東学院大学ラグビー部チームドクター、英国アバディーン大学研究員などを経て、2015年より東京医科歯科大学再生医療研究センター所属。現在、東京医科歯科大学付属病院スポーツ医学診療センター、八王子スポーツ整形外科などで診療。日本体育協会公認スポーツドクター。野球、空手、ラグビーなどを通じて、野球肘、肩関節脱臼、足関節靱帯損傷、骨折(鼻骨、手首、下腿)など自身が豊富なケガの経験を持つ。スポーツのケガを減らしたいとの思いで、2015年12月一般社団法人日本スポーツ医学検定機構を設立し、「 スポーツ医学検定 」を開催している。

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1件 のコメント

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スポーツ参加者への厳格さとすそ野の問題

寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

サッカーでもドーピングを巡る問題がたびたびあってサッカードクターセミナーの議題になっています。 また先日の冬季五輪でもドーピング検査に引っかかっ...

サッカーでもドーピングを巡る問題がたびたびあってサッカードクターセミナーの議題になっています。
また先日の冬季五輪でもドーピング検査に引っかかった問題がいくつかありました。
冤罪も。

そうやって考えるとドーピングを巡る処置がどれほどの選手や観客を幸せにしているのか考えさせられます。

中高生や大学生が一生懸命準備してきて風邪薬やちょっとしたサプリメントで出場機会を失うのは凄く残酷な気もします。
そういう意味ではダブルスタンダードやトリプルスタンダードでもいいと思います。

トップアマやトッププロは厳格に行くべきかもしれませんがそれ以外は割と緩い方がスポーツのすそ野も広がるでしょう。
あるいはむしろ商業ベースに載せてしまう方が薬剤の適正使用も進むのかもしれません。
スポーツは観るものなのかやるものなのか意見も分かれるでしょうが
いずれの人口も増えたほうが良いのは確かです。

昔ながらの気に入らない奴は辞めさせる指導やしごき指導は一部の施設だけで良いでしょう。
実はアンチドーピングの厳格さも参加者を絞るという点では似ていますのでいい塩梅になる仕組みを考える必要が出てきます。

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