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狭心症のカテーテル治療、保険適用範囲見直し「血管9割以上の狭窄」など要件

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狭心症のカテーテル治療、保険適用範囲見直し「血管9割以上の狭窄」など要件
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 神奈川県の男性Aさん(79)は3年ほど前、東海大学病院(神奈川県伊勢原市)で心臓の冠動脈を造影したところ、血管の90%が詰まった 狭窄きょうさく が判明した。こうした場合、心臓カテーテル治療を行う病院も多いが、実際の血流への影響は小さかったため、薬での治療にとどめた。担当医は「不要な治療は行わないことが患者のため」と話す(森井雄一)

 狭心症は、心臓に酸素や栄養を届ける冠動脈が、動脈硬化などで狭くなって発症する。症状が安定していて重症化の心配が少ない安定狭心症と、重症で血栓ができ、突然死の恐れもある不安定狭心症に分けられる。さらに冠動脈が詰まって心筋が 壊死えし するのが心筋 梗塞こうそく で、治療は一刻を争う。

 こうした冠動脈疾患には、投薬や手術、心臓カテーテル治療などが行われる。中でもカテーテル治療の普及により、心筋梗塞での死亡率は大幅に低下した。

 カテーテル治療には、風船を使って血管を広げる「冠動脈形成術」と、広げた部位にステントと呼ばれる網目状の金属を入れる「冠動脈ステント留置術」がある。すでにステントがある場合などを除くと、通常はステントを留置する。

ステントは必要か

 ただ、カテーテル治療は緊急度の高い治療では効果を発揮する一方、緊急度の低い安定狭心症に対して近年、場合によっては有害との研究結果も出てきた。

 冠動脈の造影では狭窄の有無は分かるものの、実際に血液が不足する虚血が起きているかどうかは把握できない。欧米の研究では、狭窄がある患者のうち、実際に虚血が起きている患者にカテーテル治療を行うと投薬だけよりも命にかかわる病気の発生が少なかったが、虚血が起きていない患者に行うと逆に多かった。

 同大循環器内科教授の伊苅裕二さんは「ステントは人間の体には異物。血栓の危険性が高まるので、不要なステントは入れない方がいい」と指摘する。

コレステロールを下げる薬で治療

 こうした結果を受け、厚生労働相の諮問機関の中央社会保険医療協議会(中医協)も、保険適用の範囲を見直した。今年4月の診療報酬改定で、形成術、ステント留置術とも、安定狭心症を意味する「その他」の場合の要件が見直された。

 従来は造影で75%以上の狭窄があれば認められたが、新要件は〈1〉造影で90%以上の狭窄〈2〉運動時に発作が起きる「安定 労作ろうさ 狭心症」の原因と考えられる〈3〉検査で虚血の原因と確認された――のいずれかを満たすこと。伊苅さんは「できるだけ実際に虚血が起きている狭窄に限定した」と解説する。

 東海大学病院では数年前から、虚血が起きているかを確認後にカテーテル治療を実施してきた。Aさんは、造影結果は要件は満たしたが、虚血は起きておらず、カテーテル治療を見送った。コレステロールを下げる薬で治療を続けている。

 厚労省の調べでは、カテーテル治療の4分の3が安定狭心症に行われている。岡山大学循環器内科教授の伊藤浩さんは「安定狭心症は生活習慣の改善や薬物療法でコントロールできることが多い。今回の改定で治療の適正化が図られると、安定狭心症へのカテーテル治療の件数は減る可能性がある」と指摘している。

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