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知ってる? 予防接種(中) 抗体 年とともに低下も

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知ってる? 予防接種(中) 抗体 年とともに低下も

「予防接種には、社会全体を守る意義もある」と話す柳井さん

 夫の留学のため近く渡米する熊本市の女性(29)は5月、熊本地域医療センター内にある熊本県予防接種センターで、MR(麻疹と風疹の混合)ワクチンを接種した。留学先の大学から、同行する家族も予防接種をするよう指示されたからだ。

 女性は、子ども時代の接種状況を詳しく思い出せず、まず医療機関で抗体を調べる検査を受けた。すると、水ぼうそうとおたふく風邪の抗体はあったが、麻疹と風疹の抗体は十分ではなかったという。

 麻疹は重症化すると死に至ることもあり、妊婦の場合は流産や早産を招きやすい。風疹は、妊娠初期にかかると出生児が白内障や難聴、心疾患などの「先天性風疹症候群」になる恐れがある。女性は「結婚したばかりで、抗体のことは考えたこともなかった。検査を受けてよかった」と話す。

 「予防接種は子どもが受けるものと思われがちですが、大人も注意が必要です」。そう説明するのは同医療センターの小児科部長、柳井雅明さん(48)だ。

 麻疹の場合、1978年に法律に基づく定期接種が始まった。当時は1回接種で患者は減少した。しかし、約5%の人は1回では抗体ができず、できても年月とともに低下することなどから、2006年からMRワクチンの2回接種となった。柳井さんは「感染したことがなく予防接種もしていない人はぜひ接種を。1回接種した人も、流行している地域や海外に行く時は2回目をお勧めします」と話す。

 風疹は1977年に女子中学生を対象に定期接種が始まり、95年からは男子も対象となった。だが、集団接種から個別接種になり男女とも接種率が低迷。このため抗体を持たない成人男性が多く、2013年には男性を中心に風疹が大流行した。

 水ぼうそうは、成人が感染すると重症化することが多く、出産直前に妊婦がかかると新生児も重い症状になることがある。以前は任意接種だったが、14年から定期接種となった。おたふく風邪は任意接種だが、髄膜炎や難聴などの合併症があり、思春期以降に感染すると精巣炎や卵巣炎になるリスクが高まる。

 柳井さんは「予防接種には、自分を守ることに加え、次世代の子どもたちを守る意義もある。社会全体で感染症を防ぐことが大切」と話す。

 < 抗体検査 > 血液を採取して抗体の状態を調べる検査。一般の医療機関で受けられる。検査料は医療機関や感染症の種類によって異なり、数千円程度。結果が出るまで1週間ほどかかる。風疹の場合、妊娠を希望している女性やそのパートナーなどを対象に、無料で検査を行う自治体が多い。

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