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医療部発

コラム

遊びのボランティア「まほうのランプ」の20年(上) 病棟の子ども訪ね 「また遊びたい」の言葉が原動力

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 病院に足を運ぶと、エプロンをつけた人が受診手続きの手伝いをしてくれたり、院内の案内をしてくれたりする姿をよく見かけます。近所の住民らが参加する病院ボランティアです。

 病気の子どもたちと小児病棟で遊ぶボランティアも、一部の病院で導入されています。順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京都文京区本郷)では、遊びのボランティア「まほうのランプ」が1998年5月に活動を始め、今年20年を迎えました。病院とは独立したボランティア団体で、支援者らの寄付金で活動を続けています。先日、活動20周年を祝い、現役メンバーやOB、順天堂大の小児科医らが参加した会合が都内で開かれました。

創設に参加 大人の男は遊び相手に大人気

 私はまほうのランプ創設メンバー10人のうちの1人です。2006年夏までの8年余り、順天堂医院10階の小児病棟で月2回ほど、青いエプロンをつけて入院中の子どもたちと遊びました。病棟には「プレイルーム」があり、毎週土曜日午前の約2時間、様々な年齢の子が集まって基本的におもちゃで遊びます。幼児には小さな玉を穴に入れると転がってきれいな音が鳴るおもちゃや、ボタンを押すと様々な電子音が出るにぎやかなおもちゃが人気です。少し大きくなるとボードゲームやオセロ、将棋、トランプなどで勝負しました。手術直後などベッドで安静にしなければならない子には、ベッドの横に行って1対1で同じようにおもちゃやゲームを楽しみました。

 活動が始まって最初の半年ほどは、男性のメンバーは私だけ。特に小学生以上の男の子には、様々な遊びを知っている大人の男は大人気です。病院では、医師や看護師は普段は優しくても、痛い注射をしたり、苦い薬を飲ませたりします。われわれボランティアは、痛いことはしないし、子どもにとって楽しいことを最優先に考えているので、慕われるのは当然です。

体調が悪くても遊びたいのは健康な子と同じ

遊びのボランティア「まほうのランプ」の20年(上) 病棟の子ども訪ね 「また遊びたい」の言葉が原動力

筆者が執筆した1999年11月の朝刊連載「医療ルネサンス」

 私は大学生のころ、保育士になることを真剣に考えた時期がありました。新聞記者になってからも年数回は友人の経営する幼児施設を訪問し、子どもと遊んでいたことが活動参加のきっかけでした。メンバーの中には現役の保育士や元教師など子どもに接するプロもいましたが、私のような会社員もいました。それは今も同じです。遊びの技術も特別必要ではありません。感染症予防のための検査を受け(現在は一定の予防接種を受けたなどの証明書を出すことが活動参加の条件)、点滴をつけた子どもが危なくないようにするなど安全面での配慮を忘れなければ、18歳以上なら誰でも参加可能です。

 病気の子どもと遊ぶことに不安がなかったわけではありません。プレイルームに初めて入った時、点滴をつけ、髪がまばらに抜けた子どもがいるのを見て、「この子たち、遊んでも大丈夫なんだろうか」と心配になりました。おそらく小児がん治療中の子たちです。当時の私は、がんの子は病室で一日中寝ているものだと思っていました。小児がんといっても常に体調が悪いわけではありません。多少体調が悪くても遊びたいと思うのは、健康な子と変わりません。初めての活動でパジャマ姿の小学生の男の子とトランプなどを終えた後、「また次も遊びたい」と笑顔で言われたことが、活動を続ける原動力になりました。

 その後、医療担当記者になり、1999年11月の朝刊連載「医療ルネサンス」で、「子どもに笑顔を・病院ボランティア」のタイトルで5回にわたり活動の様子や課題を紹介しました。この記事がきっかけで活動に参加するようになったという仲間も多数いました。

 活動メンバーはホームページで随時募集しています。

 この活動は、順天堂大小児科名誉教授の山城雄一郎さんと、まほうのランプ初代代表、積田(つみた)由紀子さんの2人がいなくては始まりませんでした。

石塚人生

石塚 人生(いしづか・ひとせ)
1999年から医療情報部で約7年間、小児医療、神経難病などを担当した。東日本大震災発生時は東北総局。石巻支局長を経て2015年6月から医療部。現在はがんや災害医療などを担当。

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医療部発12最終300-300

読売新聞東京本社編集局 医療部

1997年に、医療分野を専門に取材する部署としてスタート。2013年4月に部の名称が「医療情報部」から「医療部」に変りました。長期連載「医療ルネサンス」の反響などについて、医療部の記者が交替で執筆します。

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