宋美玄のママライフ実況中継
医療・健康・介護のコラム
自民幹事長代行「赤ちゃんはママがいい」発言に波紋 それは父親の育児参加が足りないからです
自民党の萩生田光一幹事長代行が、待機児童ゼロを目指す政府の方針に対し、「0~3歳の赤ちゃんに、パパとママどっちが好きかと聞けば、はっきりとした統計はありませんけど、どう考えたってママがいいに決まっているんですよ」、「お母さんたちに負担がいくことを前提とした社会制度で底上げをしていかないと、言葉の上で『男女平等 参画社会だ』『男も育児だ』とか言っても、子供にとっては迷惑な話かもしれない」などと発言したと報じられ、波紋を呼んでいます。
萩生田氏が一番言いたかったことは、「仕事の心配をせず、財政的な心配もなく、1年休んでも、おかしな待遇をうけることなく、職場に笑顔で戻れるような環境をつくっていくこと」だと思うので、趣旨としては理解できます。ですが、母親だけに特別負担をかけることを提案したために各方面より批判を浴びています。
子供がなつくのは「育児をする人」
この話を聞いて、まず初めに頭に浮かんだのは、よく子育て中の母親から愚痴として聞く「一日中赤ちゃんと二人で過ごして、やっと夫が帰って来たと思ったら、抱っこしてうまくあやすことができずに泣かれ、『やっぱりママがいいみたい』と10秒で赤ちゃんを返される」というエピソードです。
確かにママが一番好き、ママじゃないとイヤという子供は多いでしょう。それはママがママだからなのでしょうか。それもあるとは思いますが、ママが一番多く一緒にいてくれて、世話をしてくれるからではないでしょうか。
わが家では、遠方に住む私の実母がまとまった期間来てくれて、子供たちの世話をしてくれます。その期間は、私が夜に子供を置いて外出することもあり、子供たちは私の母といる時間が一番多くなるので、明らかに私よりも母になついています。母がいなくなると私の取り合いをし、パパしかいない時は二人ともパパになつきます。母親だろうが父親だろうが、母乳が出ようが出なかろうが、育児に参画する人がなついてもらえるだけの話だと思います。
政治家は主張より、子育て環境の整備を
今の時代、もうすでに多数の父親が育児に積極的に参加し、パパの方が好きという子供もいることでしょう。「ママが一番好き」という子供が多いのは、今まで母親がかなりの割合で育児をしてきたからというだけであり、今後も母親がメインで育児を担っていく根拠とするのはおかしいと思います。
萩生田氏の言う通り、本人の考え方や希望に関係なく、1歳からでは保育園に入りづらいという理由で、0歳から保育園に預けて働かないといけないというのはよい状態ではないでしょう。出産した人が自分の望むタイミングで復帰できるためには、保育園のキャパシティーに余裕があり、いつでも預けることが可能な状態であることが必要です。
政治家にできることは価値観を声高に述べることではなく、様々な状況下で子育てする人たちにとって頼れる場所を確保することだと思います。まず親がハッピーになって、余裕を持って子育てができるような環境を整えていただきたいです。(宋美玄 産婦人科医)
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うちの夫は家にいない時間も長いけど、家にいる間はびっしり子供のことを見ます。
休みの日ももちろん。私に出かけてきていいよと言って子供を見ていてくれます。
そのおかげか、1歳半になった子供は未だにパパイヤイヤ期はないし、むしろパパっ子で私よりパパに懐いてます。
また、実母も車で30分のところに住んでいて気晴らししといでとか、夫婦の時間作っといでと日中だけじゃなく夜もちょこちょこ預かってくれます。
こうした周囲の協力のおかげか、私は子供が産まれてから今のところはまだ育児中イライラというのはないし子供も私じゃないとイヤと言うことはありません。
子供にとっては、誰がいいかというより自分を見てくれていて自分を構ってくれる、そして甘えたい時に甘やかしてくれる人がいいんです。お母さんだっていつでもすぐあやせるわけじゃない。四苦八苦し子供に合ったあやしかたを24時間見てる中で手探りで探しながら子供を育ててるんです。
お母さんじゃないとダメ、はただの育児放棄にすぎない。
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出来ちゃった結婚が増えて結婚の意味が出産や育児とイコールの方向にシフトしつつある現在ですが、改めて閉鎖的な社会制度全体の問題とそれに慣らされた一部国民の問題は大きいです。(ある種の洗脳)
そして、現実問題、男性社会や過重労働社会のシフトがうまく進まないことと、男性は女性ではないという問題もあります。
その中で、一夫一妻社会において、大多数をターゲットにした場合、女性に優しい社会は男性に優しい社会とイコールで、構造弱者同士が揉めるのは間抜けな事ですね。
めんどくさい状況だと、遺伝子よりも思想や仕事を残す方が楽だとさえ感じます。
どう考えたってママが一番いいのは、発言者が日本社会でのより多いケースしか思い浮かばないからでしょう。
これが、産婦人科で精神的疲弊を起こしたママや産科救急死亡でシングルファザーになった症例を経験していれば思考の多様性も生まれたはずです。
僕も結婚前から育児不参加希望になりつつありますが、育児参加も強制されるとそれはそれでうまくいかないことが想定されます。
いないほうがいい親がいるという現実への認識も足りないでしょう。
出産と育児もまた別物の部分もありますし、選ばないとしても選択肢が存在すること自体が心の余裕を産みます。
サッカーでも、普通の人と違う判断をする選手がいますが、彼らの仕事のうち他の選手に本当に真似できないプレーというのは一握りです。
8割くらいは、心の余裕を作って落ち着いているだけです。
身体と心に余裕ができる社会制度作りに政治家を動かすにはどういう状況を作ったらいいのでしょうか?
この問題は昨今のアメフト傷害事件にも似ていて、考える余裕を奪うファクターを減らして、全体をリモデリングしていく作業です。
長年かけて出来たものを作り直すのは大変ですが、極論を言えば、戦争で違う考えの相手を殺すのはもっとリスクの高い愚かな行為でしょう。
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