医療大全
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脳腫瘍のいま(1)後遺症を残さない手術
「雨の日に差すものは」 「数字を1から数えてください」
2017年10月、筑波大学病院(茨城県つくば市)の手術室。脳腫瘍の手術中、脳神経外科長の石川栄一さんは、患者の主婦Aさん(69)(同牛久市)に話しかけていた。タブレット端末を使ってリンゴや動物の絵を見せるなど、脳の各部位の働きを確かめる質問や会話を続けた。
これは「覚醒下手術」と呼ばれる手法だ。Aさんは左 側頭葉 に約4センチの腫瘍が見つかり、脳腫瘍の一種、神経 膠腫 (グリオーマ)と診断された。脳腫瘍には良性と悪性がある。悪性は、いわば「脳のがん」。神経膠腫は代表的な悪性脳腫瘍で、年間10万人に4~5人が発症する。
Aさんの腫瘍は、言語をつかさどる「 言語野 」のごく近い位置にあり、手術後、失語症などの後遺症が出る恐れがあった。覚醒下手術は、全身麻酔で開頭し、途中で局所麻酔に切り替えて患者を目覚めさせ、会話しながら行う。どこを切除してはいけないのか慎重に確かめつつ進められる。
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