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すてきLIFE

コラム

[野田あすかさん]1粒の涙のために弾く

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[野田あすかさん]1粒の涙のために弾く

撮影・西孝高

 小さい頃から人の気持ちや表情を読み取れず、相手を怒らせたり笑われたり。22歳で発達障害と分かるまで、「頑張りが足りないからみんなと同じことができない」と、自分を否定し続けてきました。図形の認識が苦手で、楽譜を読めず、子どもの頃はピアノ教室でみんなについていけませんでした。高校ではいじめを受け、転校もしました。

 それでも、寝る時と食べる時以外は練習をして、高3の頃からコンクールで上位入賞できるようになりました。でも、大学で人間関係のストレスから過呼吸発作を繰り返すようになって退学。自宅2階から飛び降りた時の後遺症で、今は車椅子生活です。右足はピアノのペダルを踏めず、左耳には難聴もあり、指のタッチを工夫して弾いています。

 退学後、個人レッスンを引き受けてくれた先生に、「あすかさんは自分の心を音に出せるのね。あなたはあなたのままでいい」と言ってもらえた。言葉で気持ちを伝えるのは苦手だけど、ピアノが私の心を分かってくれ、人に伝えてくれる。それが分かってから、ピアノを弾いたら、たくさんの人が友達になってくれました。

 コンサートで色々な人と出会い、幸せそうに見える人も何か一つは悲しいことを持っていると分かりました。今は涙を流せない人が、1粒だけでも涙を流せて、にっこりしてくれるような演奏をしていきたいです。(田中ひろみ)

 ◇ のだ・あすか  36歳。ピアニスト。宮崎市在住。対人関係などが苦手な「自閉症スペクトラム障害」を抱える。3月に自作曲を含む初アルバム「哀しみの向こう」(ビクター)を発売、9月まで全国ツアーを開催中。

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