わたしの医見
医療・健康・介護のコラム
失神の子に誤診断
大阪府 主婦 43
中学3年の息子が家で意識を失った。風呂上がりにも同じことがあった。総合病院で脳波検査などをし、近くの脳神経外科の医師に判断を仰ぐと、「てんかんだ」と告げられて薬をもらった。たまたま医療ルネサンス「失神を知ろう」(4月5~12日)が、息子の状況と似ていると思い、改めて専門医がいる大病院に脳波画像などを持ち込み診断してもらった。成長期によくある「起立性調節障害」とわかった。薬も不要だった。
脳波の診断は専門医でも難しいそうだが、セカンドオピニオンの大切さを実感した。
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自分も脳波は読めません。 心電図もそうですが、専門医であろうとなかろうと、自分の守備範囲や不完全性をよく理解していることが大事です。 一握りの天...
自分も脳波は読めません。
心電図もそうですが、専門医であろうとなかろうと、自分の守備範囲や不完全性をよく理解していることが大事です。
一握りの天才医師を除き、あらゆる分野の全ての診断治療に習熟するのは不可能です。
これは医師の立場であって、患者さんからは必ずしもそうは思われません。
歯切れの悪い答えを出す医師より、嘘でもいいから明快で心地よい答えを出す医師を少なくない患者さんや家族は求められるのではないでしょうか?
また、全ての患者さんにあらゆる検査をするのは不適切ですし、それでもわからないことがあります。
その複雑さに耐えられる医師や患者ばかりでもありません。
短時間で医師が何年もかけて身につけた理解まで到達させるのはそもそも無理があります。
実際、患者さんの本当の診断は本文からは不明です。
起立性調節傷害よりも、中学三年生にありがちな受験や部活の諸々で無理をしたせいなのが本当の原因のようにも思います。
個々の病名の精密さも大事ですが、重要なのは個々人の症状の改善と社会生活への復帰です。
症状を繰り返すようであれば、MRIや血液検査などで稀な失神を来す病気のリスクをチェックした上で、もう一度症状や日常と向き合う必要があります。
専門医の称号や博士号というものはとるのも結構大変です。
論文だのインパクトファクターだのがないと偉くなれません。
一方で、深堀された分野の細かい知識とこういった臨床で患者さんの情報と検査の情報を整理して原因の要素や疾患を絞り込む能力や説明する能力は別物です。
理由は試験の不完全性と人間が人間を評価するということの問題です。
4回も専門医試験を落ちた人間のやっかみですが。
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