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汗と向き合う(2)額に注射 頭の多汗治療

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汗と向き合う(2)額に注射 頭の多汗治療

頭部の汗の減り具合を確認してもらうため、大嶋さん(右)の診察を受けるBさん(愛知医科大学病院で)

 名古屋市の会社員男性Bさん(38)は額からしたたる汗をハンカチでぬぐった。オフィスは冷房が利き、暑くはない。企画を上司に説明中、想定外の質問に焦ったためだった。

 Bさんは頭部の多汗症。様々なストレスにさらされた時に頭から多量の汗が出る。悩み始めたのは社会人になってから。契約を取れるよう提案がうまくできるかなど、仕事で緊張は常につきまとう。満員電車も苦手。「汗が出ていないか」と気にすることがまた汗を招く悪循環に陥るからだ。

 多汗症は手のひら、わきなどでも起こるが、これらの部位の治療法はほぼ確立されている。軽症では塗り薬で汗の出口をふさぐ。

 生活に支障が生じるほどの発汗がある重症例には、手のひらの場合、胸の神経を切る手術を検討する。わきではボツリヌス毒素の注射が2012年に保険が使えるようになった。神経の末端と汗腺の間の命令伝達を邪魔することで、注射したわきの汗を抑える。

 一方、頭の多汗症は治療の決め手に欠けている。頭皮がかぶれやすく塗り薬は使いにくい。「一生このままか」と悩んでいたBさんは昨年秋、製薬会社の友人から偶然、頭部の多汗症へのボツリヌス毒素注射の臨床試験の情報を聞いた。すぐに実施している愛知医科大学(愛知県長久手市)に参加を申し込んだ。

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