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心不全、新診療指針で「予防」重視…生活習慣の改善から

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心不全、新診療指針で「予防」重視…生活習慣の改善から
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 心臓のポンプ機能が低下し、死に至ることもある心不全。患者は100万人を超えるが、生活習慣の改善や服薬により、発症や悪化を予防することもできる。福岡市の男性Aさん(56)は、糖尿病や高血圧の治療に取り組み、心不全の進行を抑えている。(赤津良太)

進行度ごとに対策を

 心不全は、心臓が弱って十分に働いていない状態を言う。病名ではなく、心臓の様々な病気が行き着く最後の段階だ。息切れや 動悸どうき 、むくみなどの症状がひどくなり、日常生活が制約されることもある。薬などで進行を遅らせることもできるが、最も軽いレベルでも発症から1年以内に5~10%が亡くなるとされる。

 主な原因は、心臓を動かす筋肉に十分な血液が送れない心筋 梗塞こうそく 、心臓に過大な負担をかける心肥大、心房細動などの不整脈だ。さらに元をたどると、高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある。年齢を重ねれば心臓が弱っていくのは避けられないが、運動や食事などの生活習慣を見直せばリスクを減らせる。

 日本循環器学会と日本心不全学会は今年3月、新しい心不全の診療指針を出した。「予防」の項目を新たに設けたのが特徴だ。取りまとめた九州大教授(循環器内科)の筒井裕之さんは、「心不全は予防できる病気だと知ってほしい」と狙いを語る。

 指針では、心不全を進行度に応じて4ステージに分類。予防のタイミングや内容を説明している。

 ステージAは、心臓に異常はないが、心不全のリスクとなる生活習慣病がある状況だ。運動やカロリー制限による減量、減塩、禁煙など、生活習慣病にならない、なっても悪化させないことが中心で、予防の第1段階となる。

 ここから進んで、狭心症や心筋梗塞、心肥大など、心臓の病気が表れるとステージBだ。予防の第2段階として、薬も加えて生活習慣病の治療を本格化させる必要がある。

 ステージCになると、心不全を発症し、症状が治まったり再発したりを繰り返しながら、だんだん悪くなっていく。急激な症状の悪化を抑えるため、生活習慣病の治療を徹底することが予防の第3段階となる。薬が治療の中心だが、弁膜症や心筋症では手術が行われることもある。

 ステージDは、心臓移植や緩和ケアなどに移るため、予防ができるのはステージCまでだ。

増え続ける患者、2030年には130万人超か

 Aさんは2012年に心筋梗塞で入院。詰まった血管にステントという筒形の金具を入れて広げる治療を受けたため、ステージCと判定された。持病の糖尿病や高血圧などが引き金になった。

 主治医の九大病院循環器内科准教授、井手友美さんは「心臓の負担を軽くする薬を飲みながら、糖尿病の治療を食事から見直した」と話す。Aさんも「次に入院したら命にかかわる」と治療や予防に励む。

 心不全の患者は増え続けており、30年に130万人を超えるとされる。筒井さんは「生活習慣病は症状がないので治療を怠りがちだが、息苦しさなどの症状が出たら心不全のステージCということ。症状に関係なく治療をしっかり続けることが、発症や悪化の予防になる」と話している。

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