教えて!ヨミドック
医療・健康・介護のニュース・解説
ため息は体に悪い?
自律神経を整える効果
Q 「ため息をつくと幸せが逃げる」っていうけど、体にも悪いのかな?
ヨミドック ため息は、ストレスを解消して健康でいるための自然な反応です。ため息が出るのは悩みやストレスを抱えている時。シェークスピアの「お気に召すまま」には、「恋は、ため息と涙でできている」というセリフがあります。ストレスがたまると、胸や腹の筋肉が緊張して呼吸が浅くなりますが、ため息をつけば呼吸が深くなります。
Q 呼吸が深くなると、どうして体にいいの?
ヨ 呼吸は自律神経と密接に関係しています。自律神経には、体を活動的にさせる交感神経と、リラックスさせる副交感神経があり、そのバランスが健康には重要。呼吸が浅いと血液中の酸素が不足して交感神経が働き、血圧が高くなります。ため息をつくと深呼吸で酸素をたくさん取り込めるので副交感神経が働いて緊張がほぐれ、血流も増えて血圧は安定します。
Q 緊張を解くのに深呼吸がよい理由が分かったよ。
ヨ 大舞台でもプレッシャーに負けず、好成績をあげるスポーツ選手は、自律神経のバランスが絶妙で、交感神経と副交感神経がどちらも活発に働いています。体が興奮状態でありながら、気持ちを冷静に保つことで、体の動きをコントロールして実力を発揮できるわけです。深呼吸は、自分で自律神経のバランスを整えることのできる手軽な方法です。
Q 無意識にしているけど、呼吸って大切なんだね。
ヨ 呼吸は生物にとって食べることと同じくらい大切です。深呼吸は、体の隅々まで多くの酸素を行き渡らせ、細胞を元気にします。深呼吸で横隔膜を使うと、内臓の運動にもなります。特に現代はストレスが多く、日常的に交感神経が高まりがちなので、副交感神経を高める深呼吸の重要度は増しています。
Q 深呼吸のコツは?
ヨ 横隔膜を広げるように意識しながら、息をゆっくり鼻から吸って口から吐く。「3秒で吸って6秒で吐く」ように、吐く時間を吸う時間の2倍にすると良いです。お風呂やトイレの時、1分間、意識して深呼吸するだけでも効果があります。
(山田聡/取材協力=石川恭三・杏林大学名誉教授、小林弘幸・順天堂大学教授)
ヨミドックは読売新聞の医療介護サイト「ヨミドクター」のお医者さんキャラです。
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