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医療・健康・介護のニュース・解説
働くシニア女性(上)70代で週3日 生活に潤い
年金に上乗せ 貯金や健康づくり
70歳を迎えても元気に働く女性が増えている。その数は10年前の1.5倍に上る。女性が70歳でも働くにはどんな準備が必要なのだろう。シニアの就労支援に先進的に取り組む「福岡県70歳現役応援センター」で2回にわたってそのヒントを探る。まずは、72歳の女性に、仕事の内容や事情を聞いた。
福岡花市場(福岡市)で午前7時、この日の取引が始まった。競り落とされた切り花が、コンベヤーで次々に運ばれてくる。これを約50台のコンテナに運ぶのが梅津政子さん(72)の役目だ。バラやカーネーションといった花々が自分の手を経て、市内の生花店などに並ぶ。
同センターの紹介で69歳の時に働き始め、この夏で3年になる。月、水、金曜と1日おきに週3日、早朝6時半から4~5時間働く。契約は1年更新。「作業を間違えたら迷惑をかけるので、気が抜けない。でも、この働き方なら、無理なく働ける」

競り落とされた花をコンテナに運ぶ梅津さん(福岡市内で)
一人暮らし。40歳以降、2人の子どもを育てながら、介護施設のパートなど様々な仕事をして生計を立ててきた。65歳の時にいったん仕事を辞めたが、長男が所帯を持つのを機に、再び働くことを思い立った。「まだ元気だし、家にいても仕方がないから」
経済的な事情もあった。年金を受け取る時期を1年遅らせるなどして金額を増やしたが、それでも手取りは月額6万円台。家賃や食費、光熱費など生活するための費用でほとんど使い切ってしまう。「息子2人の仕送りもあるが、迷惑はかけたくない。でも、年金だけでは暮らせない……」
仕事の収入は毎月4万円ほど。貯金や健康づくりに充てている。太極拳教室の月謝に加え、昨年春から、高齢者の山歩きサークルにも参加。「リュックなどの装備を少しずつ買いそろえている」という。
職場でコンビを組む女性は、息子より若い。「私の仕事が遅ければ負担を増やしてしまう。年寄りだからって甘えてはいけない。役に立てるうちは働きたい」と話す。
同センターの取り組みは、(下)で紹介します。
<福岡県70歳現役応援センター> おおむね60歳以上を対象に、福岡県が2012年度に開設した。利用者の4割が女性。17年度までに、女性登録者の5割弱にあたる約2300人が就職した。
70歳以上の就労 女性の伸びが顕著
総務省の労働力調査によると、70歳以上の女性の就業者は2007年の97万人から、17年は過去最多の146万人にまで増えた。70歳以上の男性就業者も同じ10年間で1.3倍の217万人に増えているが、女性の伸び率の方が大きい。
元気な高齢者が増えたとの見方もあるが、特に女性の場合は老後の生活基盤が不安定という事情も透けて見える。出産や子育てで仕事を離れたり、低賃金のパートなどで働いたりすることも多く、低年金になりがちなためだ。働かざるを得ない女性は今後も増える可能性がある。
意欲と希望に応じて年齢に関係なく働ける社会の実現が求められている。
(滝沢康弘)
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私は63歳で仕事にたどり着けました。15歳から実家が貧しかったのと早くに離婚したのとで、掛け持ち掛け持ちで働き詰めの人生でしたが体調を崩してリタ...
私は63歳で仕事にたどり着けました。15歳から実家が貧しかったのと早くに離婚したのとで、掛け持ち掛け持ちで働き詰めの人生でしたが体調を崩してリタイア。
でも、やはり社会とつながっていたいのと、お金のために63歳かから職探しをしました。そして見つけたのです。清掃なので体はかなりきついのですが、皆さんに喜んでいただいてとても幸せです
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