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iPS臨床…他人の細胞を移植するため、拒絶反応防ぐ薬で副作用恐れも

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 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した心臓の筋肉のシートで、重症心臓病を治療する大阪大の臨床研究が今年度中にも始まる。阪大はこれまでに、太ももの筋肉細胞を使ったシートを開発し、既に心臓病治療で使用しているが、さらに高い効果を示せるかが注目される。

 阪大は2000年以降、医療機器メーカー「テルモ」(東京)と共同で、患者の太ももの筋肉細胞シート「ハートシート」の研究を実施。再生医療製品の早期承認制度の初適用例となり、16年に保険適用となった。腫瘍になりにくく、患者自身の細胞を使うため免疫による拒絶反応もないが、重症患者では効果がみられない例もあった。

 今回、阪大はiPS細胞から、心臓の筋肉そのものの細胞シートを作製。ハートシートより心機能の改善に有効な成分を多く分泌するとみられ、阪大の澤芳樹教授は16日の記者会見で、「動物実験の結果では、従来のシートより心機能の回復が見込める」と強調した。

 一方、他人の細胞を移植するため、拒絶反応を防ぐ薬を使う必要があり、副作用の恐れがある。移植する細胞数も約1億個と膨大で、心筋に変化しきれなかった不完全な細胞がシートに混じっていると腫瘍ができる危険性もある。「移植した細胞の拍動が乱れて不整脈が起こるリスクも否定できない」と懸念する専門家もいる。

 澤教授は会見で、「動物実験では腫瘍ができないことを確認しているが、安全に最大限配慮する形で研究を進めたい」と話した。

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