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iPS心臓病治療…再生医療普及の試金石

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 iPS細胞を用いて重い心臓病を治療する大阪大の臨床研究計画が16日、厚生労働省の部会で了承された。阪大チームは年度内にも1例目を実施することを目指すという。生命に直結する心臓への移植について、部会事務局の厚労省研究開発振興課の森光敬子課長は「難しい臨床研究なので、安全性に注意して進めてほしい」と慎重さを求めた。

 現在、iPS細胞の研究は、基礎から臨床応用へと広がりつつある。先行した目の疾患「加齢黄斑(おうはん)変性」や、今回の重い心臓病のほか、脊髄損傷の臨床研究やパーキンソン病の治験が計画されている。根治が困難で、長く患者が苦しんできた疾患ばかりだ。研究の下支えとなる産業界も、製品開発の体制作りを進めている。大日本住友製薬(大阪市)は今年3月、iPS細胞を使う再生医療製品の製造拠点を、世界で初めて大阪府吹田市につくった。

 しかし、阪大の臨床研究で腫瘍が発生したり、死亡事故が起きたりするなどのトラブルが起きれば、こうした動きにブレーキがかかる。心臓を覆う脂肪の上からシートを貼って、十分な効果が出るのかを疑問視する声もある。部会委員を務める学識経験者の一人は、今回の臨床研究の成否について「iPS細胞に代表される再生医療が普及するかどうかの試金石となる」と指摘する。患者たちにとっては急がれる治療法だが、安全性を確かめながら着実に進めてほしい。(科学部 高田真之)

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