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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

コラム

通常の視力検査では見えない…目の「体力」測定へのハードル

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通常の視力検査では見えない…目の「体力」測定へのハードル

 以前は読書したり、書類や原稿の読み書きを続けたりして、気付いたら3時間もたっていたということがよくありました。ところが、近ごろは30~40分も作業を続けると、いったんお茶休憩にしたくなります。これは、加齢による変化で目の「体力(持久力)」が落ちたということだろうと思います。

 そう気付いてから、私の外来に「眼精疲労(十分休息してもあまり改善しない、持続的疲労を自覚するもの)」を訴えてこられる患者の言葉が気になり始めました。

「目が息切れする」「新聞が5分以上読めない」

 患者たちは「目が息切れするのです」「目のスタミナが続かない」「新聞が5分以上読めない」「読んでいると、やがてぼやけてしまう」などと説明します。

 いずれの患者も、視力や視野に問題はなく、眼球は正常です。そして、たいていは近所の眼科医で「異常なし」「年齢のせいでしょう」などと診断されて、やむなくドライアイの点眼薬や、ビタミンの点眼薬を処方されることになります。

 しかし、患者にとっては切実な訴えです。加齢などの理由では納得できない一大事なのです。日常生活の質にも大いに影響するため、眼科医を転々とし、時には心療内科などにも行って何とか問題を解決しようとします。しかし、結局うまくいかず、私の外来にたどりつくことになります。

 私は、患者の訴えの内容がどの程度、日常生活に影響しているのかを聞き取ります。私のように、仕事を30分続けると休みたくなる程度の話であれば、加齢の影響であると考えられます。

 しかし、大抵は、もっと深刻なケースです。

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任し、15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人---心療眼科医が本音で伝える患者学」、「健康は眼に聞け」「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「目の異常、そのとき」(人間と歴史社)、医療小説「茅花流しの診療所」(同)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半には講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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